歯で認知症予防

歯で認知症予防というと、唐突に思われる方もいることだろう。そこに”健康な歯で、しっかりとよく噛むことで”と付け加えると何となく理解してもらえるのではないか▼しっかりとよく噛むことは、脳内のヒスタミンを増やし、脳を活性化し、脳内の神経伝達物質を増加させるという。ということは、歳を重ねて歯の機能が衰えてゆき、よく噛むことができなくなると、記憶に関係する神経伝達物質が減少し、記憶力などの認知機能、学習機能や言語機能などの知的機能の低下を引き起こすということだ▼専門家も「噛む行為は、脳に血液を送るための脳血管を拡張し、脳を働かせるための栄養素を血液がたくさん運ぶようになる。このため脳が覚醒し、ボケの防止につながる」と指摘する。現在、厚生労働省および日本歯科医師会では、”8020(ハチマルニイマル運動)”を展開している。80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという国民運動だ▼大学の研究結果でも裏付けられている。70歳以上の高齢者における認知症と残存歯数との関係で、健常者の平均歯数が14・5本、軽度な認知症を疑われる人の歯数は13・2本、認知症を疑われる人では9・4本となった。20本以上あれば、ほとんどの食べ物を噛み砕くことができ、それを維持することで健康寿命を延ばすことができる▼20本以上歯が残っている高齢者は、寝たきりになる人が少ないとの報告もある。それだけに歯1本たりともおろそかにはできない。