蜂群崩壊症候群

2006年秋、米国でミツバチが突如いなくなる現象が発生、蜂群崩壊症候群(CCD)と名付けられた。わが国においても、09年に長崎県の壱岐、五島、平戸、的山大島などでミツバチの大量死が発生、大きく取り沙汰され、『いないいない病』などとも呼ばれた▼我々は、ミツバチの生活環から得られる蜂蜜や蜜蝋、プロポリス、ローヤルゼリーなどを利用しているが、そうした産物のみならず、花粉媒介昆虫としてミツバチの役割は極めて重要である。アインシュタインの言葉として「もし、地球上からミツバチが消え去ったとしたら、人間は4年も生きていけない。ミツバチがいなくなると受粉ができなくなり、植物、動物、そして人間がいなくなる」と、まことしやかに引用されるのも無理からぬことである。実際にアインシュタインがこうした発言をした証拠はなく、”都市伝説”の1つではあるが▼『現代化学』5月号(化学同人刊)の「生物の窓-ミツバチは不足しているのか?」で、農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所の木村澄さんは、長いスパンでみると、ミツバチは世界的には減少しておらず、1961~2007年にかけて約45%の増加を示していると指摘、そして、一部の国で大きく減少している最も大きな要因は社会的要因であるとしている。花粉媒介用ミツバチの需要はこの50年間で約300%増加し、そのことが先進国における需給バランスの不安定さを起こして、潜在的なミツバチ不足の要因になっているらしい▼わが国では09年にミツバチ需給調整システムを立ち上げた結果、10年以降、大規模なミツバチ不足は起こっていないという。