橋渡し研究を充実

橋渡し研究を充実することが、産学連携を促進し、イノベーション創出につながる▼現在、政府内ではアベノミクスの3本目の矢である、イノベーションによる経済活性化に向けて様々な検討が進められている。例えば、産業構造審議会の研究開発・評価小委員会の中間とりまとめ素案でも、「橋渡し」機能の強化が大きなポイントとして取り上げられている▼小委員会での議論では、産総研を「橋渡し」のコアとして位置づけ、研究後期における企業からの受託研究等資金受け入れの基本化、企業の事業計画に連動した研究開発の実施、中堅・中小・ベンチャー企業への配慮、ガバナンス強化、「橋渡し」に繋がる目的基礎研究の実施などを進めるという。同時に、イノベーションの基盤となる基礎研究を実施している大学との連携を強化するため、クロスアポイント制の導入や兼業の促進、優秀な博士課程学生の職員としての積極的受け入れなどを進める▼ただし、最も重要なことは大学において、基本的な学理を探求する本当の意味での基礎研究が行われているかどうかという点であろう。各種データから、日本の基礎研究力が低下していることは既に指摘されている。それに伴って、研究者育成という面での人材育成力も低下傾向にある▼急がば回れという諺があるように、目先の利益だけにとらわれていれば、イノベーションの源泉は遠からず失われる。基礎研究力を維持・向上することが基本である。また、一部の大学では産学連携部門が官僚的になっているという指摘もある。時間とともに当初の目的が形骸化するというのは、組織にはよくある話だ。新たな取り組みとともに、もう一度自らを見つめなおすことが大切であろう。