BSL-4施設

人類にとって極めて危険度が高い病原体を扱える専用の実験施設を我が国も整備すべきである-日本学術会議はこのほど、提言『我が国にバイオセーフティレベル4(BSL-4)施設の必要性について』をまとめ公表した▼ヒトは長い歴史の中で、細菌やウイルスなど様々な病原体と戦ってきたが、今日では衛生環境の改善、そしてワクチンや抗菌薬、抗ウイルス薬等の開発により、多数の感染症がコントロールできるようになった。しかしその一方で、世界規模でヒトやモノの往来が盛んになるにつれ、新興感染症の出現や特定地域だけにみられた感染症が急速に流行域を拡大する事例も増え、国際規模での危機管理が重要課題となっている▼病原体はその危険度に応じて4段階のリスクグループに分類され、それに対応したバイオセーフティレベルが定められている。このうち、有効な治療法がなく、とりわけ致死率が高いものがグループ4であり、エボラウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルスや、自然界では根絶されたがバイオテロでの使用が懸念されている天然痘ウイルスなどが含まれる。こうした病原体を扱うにはBSL-4施設が必要となる▼我が国においては約30年前、国立感染症研究所と理化学研究所にBSL-4が建設されたが、地域住民の同意が得られず、今日に至るまで運転停止の状態にある。世界19カ国で40以上のBSL-4施設が整備されていることからすれば、実に遅れているといわざるを得ない。今回の提言に基づいた具体策が講じられることが強く望まれる。