人工降雨

今年の梅雨は局地的に強い雨や雹などが降るケースが多く、冠水や洪水などの被害もかなり出ている。どうやら、地球温暖化が影響していそうだ▼高度な先端技術を用いた気象衛星からの観測で、気象予報の精度が向上したとしても、それだけで、こうした豪雨などによる水害を軽減するのは難しいだろう▼もっと直接的な減災技術はないのだろうか。そんなことを考えていたら、日本学術会議で公開シンポジウム「人工降雨による渇水・豪雨軽減と水資源」を開くというので取材に出かけた▼シンポジウムでは、液体炭酸を上空にまき散らす方法で雨を降らす人工降雨の実験成果などについて、九州大学や福岡大学、国際農林水産業研究センターなどから報告があった▼海洋研究開発機構からは、液体炭酸降雨実験に対する数値シミュレーションの結果が、防衛大学校からは、液体炭酸を雲に散布してこれを制御する実験の結果が報告された▼人工降雨実験については、国内でここ1年余で実施した7、8回の実験がすべて成功したという報告があり、液体炭酸を用いた降雨技術の有効性が紹介された▼液体炭酸を用いる方法は、従来のヨウ化銀やドライアイスを用いた方法よりも、ずっとコストが安くかつ安全なので、もっとこの方法を内外に普及させたいという説明もあった▼この技術は、雨を降らせるだけでなく豪雨抑制にも使えそうであり、防災へ向けた研究が期待される。日本は比較的水資源に恵まれた国であるため、人工降雨の研究への関心度はあまり高くないようだ▼しかし、ゲリラ豪雨などという言葉も登場してくるほど、近年は異常気象が際立っており、防災という観点からも、この分野の研究をもう一度見直し、国家プロジェクトなどで進めることを検討する必要があるのではないか。