ガン対策

昭和56年以来、ガンはわが国における死因の第1位を占め続けており、現在、毎年約36万人がガンのため亡くなっている。死亡率も28・5%と第2位の心疾患(15・6%)を大きく離し、その医療費は年間約3・5兆円に達する▼日本学術会議の基礎医学委員会・臨床医学委員会合同腫瘍分科会ではこれまで、ガンの研究体制、診療体制、教育体制に関し、分野横断的に各々の現状と今後の対策について検討を重ねてきたが、このほど、報告『わが国におけるがん研究・診療・教育体制の問題点と対策について』をまとめ、公表した▼わが国では59年に「対がん10カ年総合戦略」が開始、その後も継続的に対策が実施され、平成19年には「がん対策基本法」が施行、「がん対策推進基本計画」が策定された。こうした取り組みによって、ガン年齢調整死亡率は低下傾向にあるが、いまだに年齢調整罹患率および粗死亡率は増加しており、従来の方法では診断・治療が難しい難治性ガンも存在する▼ガン対策に関してはこれまで、研究内容や診療内容についての議論は数多くなされてきたが、体制の整備に関して討議されることは少なかった。今回の報告はそうした現状を踏まえうえでまとめられたものである。そのうち、研究体制に関しては、主に人材の確保が困難であることと、研究者を支援する環境整備の必要性が指摘されている。そして、ガンの基礎研究分野における研究者ポストでは、優れた国内外の研究者を基礎医学研究に誘導するため、経済的保証のあるポストの整備が必要であり、国をあげてガン基礎医学研究の環境整備に取り組むべき時であると強調している。