医療機関における携帯電話等の使用に関する指針

 電波による電子機器などへの障害を防止・除去する対策の検討を目的に、学識経験者や関係省庁、業界団体などで組織する電波環境協議会が「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」を公表した▼同協議会の前身である不要電波問題対策協議会が、平成9年に作成した従来の指針を廃止し、新指針として示した。従来指針では、待合室など医療機関が特別に使用を認めた区域以外での利用を制限するよう指導していた▼しかし、従来指針作成から現在までに15年が経過。当時約2000万件だった国内の携帯電話契約数は爆発的に増加。今年3月末で約1・4億件まで普及し、今では国民の生活やビジネスに不可欠なツールとして定着した▼また、携帯電話端末の電波出力低下や、医用電気機器の電磁的耐性向上など、電波による影響を与える側と受ける側の機器も進歩した。そのため新指針では、こうした状況変化を理由に、病院などでの携帯電話端末利用を厳しく制限しない内容にした▼ただし、病院によって医用電気機器の種類や施設などの状況が異なるため、新指針を参考にして、具体的な利用ルールは各医療機関が適切に定めるよう求めている。また医療機関がルールを設定する際には、医用電気機器から1メートル程度離隔すること、マナーの観点を考慮すること、エリアごとの使用ルールを設定することなど注意事項を示した▼確かに、ここまで普及した携帯電話端末やスマートフォンを、病院でも便利に使えるようにするというのは前向きな考え方だ。しかし、注意事項にもあるマナーという観点では、歩きスマホなど利用マナーの悪さが目立ち一向に改善される気配ももない▼利用制限を緩和することで、医療機器への影響は心配ないとしても、別の弊害が新たな問題として浮上してくるような気がしてならない。医療機関の慎重な対応を望みたい。