理研 iPS臨床応用のプロジェクト

 理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが進めてきたiPS臨床応用のプロジェクトが、重要なステップに達した。滲出型加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シート移植の臨床研究が実施されたのだ。被験者である70代女性の経過は良好だという▼STAP問題以降、理研に対する厳しい見方がある中、周囲の様々な雑音を乗り越えて、世界で初めてiPS細胞が患者の体に移植されたことは、日本の科学界にとって非常に明るいニュースだ▼一方、9月2日付けで、総務省は独法の目標や評価の指針を決定し、研究開発法人については総合科学技術会議の報告内容がほとんど盛り込まれた。これを活かすことができるかどうかは、所管する各省と法人自身にかかっている▼新たな研究開発法人制度は来年4月から始まる。研究成果の最大化を基本的な目標として、そのためのマネジメントを実施できるよう、これまでの独法とは異なる運営が可能になる。ただし問題は、財務省が予算が増えるわけではないと念押ししているように、限られた財源の中で本当に最適なマネジメントが行えるかどうかであろう。例えば、優秀な研究者を引き抜くために、高い給与や研究支援人材を手当しようとすれば、他の経費を削ったり、場合によっては一部のプロジェクトの廃止やリストラも行わなければならない。また、成長戦略にあるような橋渡し機能の強化も急務となっている▼重要な事は、高橋プロジェクトリーダーのような「患者さんのために」という研究者のモチベーションを原動力にした研究開発を実現するための選択と集中、そして基盤整備がいま求められていることであろう。