研究予算

 本紙でも既報したように、国立大学医学部長会議・国立大学附属病院長会議が提言をまとめ、科学研究費の減少と消費税率引き上げや円安による影響などで、日本の医学研究予算が実質マイナス10%近くに落ち込んでいる実態が明らかになった▼さらに、今度は物理学者の集団が高騰を続ける学術電子ジャーナルの高い購読料が払えないと窮状を訴えた。この20年間、日本の物価上昇率を上回る7%という高率で世界の学術雑誌が高騰を続け、加えて近年は大学予算が削減され、多くの研究者が電子ジャーナルの購読料が払えず研究活動に支障をきたすようになってきた▼学術電子ジャーナルの購読は、研究論文を書いたり、最新の学術・研究情報を得るため研究者にとって不可欠なものである。その高騰問題は以前から指摘され、学術会議や文科省でも検討されて対応がなされてきた。とはいえ、いまだ根本的な解決に至っていないという▼いずれの問題も、日本の研究者を取り巻く昨今の環境が厳しさを増していることを如実に示している。いくら国家財政の厳しい状況が続いているといっても、科学技術立国推進を掲げる日本が、こうした研究現場の窮状を放置しておいてはまずい。大学や研究機関の現場で、こうした実態が今後とも続けば、日本の科学技術や学術は確実に衰退し、世界の先進各国から後れていくことになる▼日本は、科学技術イノベーション推進の世界競争から取り残され、科学技術立国推進も崩壊する。やはり、政府は科学技術や学術を担う研究現場の声にもっと耳を傾け、研究活動に不可欠な予算を確保して配布していくべきだ▼衆議院選挙戦が幕開けしたが、政治もこうした科学技術の問題にもっと関心を寄せ、与野党論戦のテーマに加えるべきである。