研究資金の偏在

 マグロは、エラポンプ呼吸ができないので、泳ぎ続けないと死んでしまう。今の大学が置かれている状況も似たようなものであろう▼基盤的経費が減り続け、多くの競争的研究資金や、国立大学改革強化推進補助金や研究大学強化促進事業のような競争的に配分される資金などを獲得しなければ、研究はもちろん教育にも支障が出るような状況になってきている▼基盤の減、競争の増という一連の流れは、大学間格差をさらに拡大させた。2013年度の実績で見ると、国立大学運営費交付金は上位5大学が全体の約27%のシェアを持ち、科研費については約46%を占めている(研究代表者でカウント)。こうした研究資金の偏在は、研究能力の偏在をもたらし、人材の流動性も阻害している▼地方国立大学では、基盤的経費によって行われてきた裾野の広い多様な萌芽的・学際的研究の機会が大きく減少している。その結果、何が起こっているのか。CRESTの研究総括を務める細野秀雄・東京工業大学教授は「地方大学から良い研究提案が出なくなっている。非常に危機的な状況だ」と指摘する▼また日本全体で見た時の教育研究能力の低下にもつながっている。一部の有力大学の有力研究室では、資金は潤沢にあるものの申請・執行・事後評価に時間を取られ、研究時間が十分取れず、学生にも目が行き届かない。一方、地方の国立大学などでは、研究能力がある教員がいて時間が確保できるものの、最低限の研究費も確保できず、研究成果を出せないという悪循環に陥っている▼地方の活性化は現政権の大きな成果目標の一つであるが、そのためには地方大学の活性化が重要であり、研究資金の構造を大きく変える必要がある。