ガン幹細胞

 よく物事の大事な部分を示す言葉として”幹”を用いることがある。まさに屋台骨を表すものだが▼最近の研究で一様に思われていたガン細胞にも、ガン幹細胞があることが分かってきた。何か手強そうな印象を受ける。そのガン幹細胞は、通常のガン細胞を生み出す種のような役割を果たしている。しかも、普通のガン細胞に比べてかなり分裂速度が遅い。現在の抗ガン剤治療は、分裂速度が速いガン細胞を叩くためのもので、これだけではガン幹細胞を叩けない▼そもそも細胞は分裂するときには、無防備に近い状態になる。だからその機会を狙って抗ガン剤による攻撃が有効になる。なかなか叩くタイミングがない。ほっておくといつまた芽を出すかわからない。非常にやっかいな代物である。もともと正常の幹細胞も分裂速度が遅い▼専門家によると「体を作っている幹細胞は、たまにしか分裂しません。分裂をしてから後の細胞が急激に増殖し、体を作っている。ガン幹細胞も同じ形質を引き継いでいると言えます」としている。幹細胞はストレス、炎症に耐え抜く力を持っていて、逆に言えば耐えれなかったらガン幹細胞になっていない。だからこそ手強いのだ▼人間の方だって手をこまねいているだけではない。ガン組織は、一様の細胞でできているのではないことがわかってきた。そこでガン幹細胞を標的にした様々な治療法の開発が試みられている。そこには最先端の医療技術が注がれ、きっとガン幹細胞を無力化するまで続くことになるのであろう。