27年1月9日号

 総務省が平成26年度からスタートさせた、戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の独創的な人向け特別枠「異能(inno)vation」プログラムは、競争的資金の一部を活用して、失敗を恐れず、不屈の精神で最後まで研究を進める、野心的で異能なICT分野の人材を公募で探し出す施策だ。その最終選考を通過した10人が、昨年12月に決まった▼これはICT分野で破壊的な地球規模の価値創造を生み出す、つまりイノベーションに挑戦する独創的な人を支援しようというプログラムである。「異能」がイノベーションを起こすという意味を込めたプログラムの名称にも奇抜性が表れている。支援金は上限300万円、支援期間は1年間と規模は小さいが、企画意図は大きく寛大である▼失敗してもゴールへの道筋を立てることができ、その方向性が明確になった課題は高く評価され、繰り返し応募できるという再挑戦の道も開いている。そうした施策の斬新さからか、昨夏に実施された同プログラムの公募には、617人(710件)もの応募があった▼その最終選考通過者10人の研究内容を見ると、大量の細胞画像から得られたビッグデータを利用した薬効分析支援、人々の振る舞いや環境変化に呼応して、ダイナミックに空間のかたちを変える建築物の構想、人の遺伝子情報を他の生命体の遺伝子情報内に保存し、生と死そして死後について考察するプロジェクトなど、確かに奇抜な発想のものが目立つ▼科学技術のグローバル競争に乗り遅れまいと、大規模資金を投入したプロジェクトが盛んに進められている昨今ではあるが、元来、研究はまずひらめき、アイディア、発想である。この異能vationプログラムから、革新的なすごい成果が生まれることを期待し、今後注目していきたい。