27年1月16日号

 ドイツが目指す第4次産業革命「Industrie4.0」は、ITの活用により産業の生産性を向上させ、労働者のワークライフバランスを改善するとともに、システムの標準を握ることでドイツ産業で世界を席巻しようというものだ▼そんなこと日本でもやっているじゃないか。最初はそう思ったが、実態はかなり違うようだ。日本ではこの種の戦略というものは、研究開発の推進、規制改革などを中心とするものだが、ドイツの場合は、産学官労が一体となった構造改革が盛り込まれているのだ▼ドイツの科学技術イノベーション基本計画「ハイテク戦略」が10年に「ハイテク戦略2020」として改定され、それを受ける形で、労働組合、経済団体・産業界、金融機関、学術機関から構成される経済・科学研究連盟とドイツ工学アカデミーが連携し、12年にIndustrie4.0提言を策定した。さらに、産業系3団体(VDMA、BITKOM、ZVEI)を事務局としたプラットフォームを設立している▼つまり、IT化は労働者の仕事に大きな影響を与えるため、労働者の生活のその後も見据えた戦略を策定するとともに、民間が実質的に活動するための組織も設立しているということだ▼一方、日本政府には、総合科学技術・イノベーション会議、IT戦略本部、知的財産戦略本部、健康・医療戦略本部など、本部が乱立している上、産業界とのつながりもそれぞれが持っていて、全体としての総合力を発揮できる体制になっていないし、労働界も入っていない▼政府与党内には乱立した司令塔の見直し論があるが、第5期科学技術基本計画を策定している今だからこそやるべき改革があるのではないか。俯瞰的な視点での議論を期待したい。