27年1月30日号

 燃料電池の原理は、1801年に英国のハンフリー・デイビーにより考案されたが、熱機関によって駆動される発電機の登場によって発電システムとしては長い間、影を潜めていた。しかし、化学エネルギーから直接電気エネルギーが得られる燃料電池は高効率で環境負荷も低いため、エネルギーセキュリティを担保し、低炭素社会構築の鍵を握る技術として、近年、その普及が強く望まれるようになってきている▼燃料電池は電気化学反応と電解質の種類によって、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)など幾つかのタイプがあり、それぞれが特色を持っているが、最も身近になっているのはPEFCで、”究極のエコカー”として今年の普及開始が注目を集めている燃料電池自動車(Fuel Cell Vehicle、FCV)の心臓部にも使われている▼トヨタ自動車は先月、世界に先駆けてFCVの市販を開始。そして今月初め、FCV関連特許を無償で提供することを発表した。その数約5680件。しのぎを削る自動車業界で、貴重な特許を開放するというのは、思い切った決断である。世界に名だたるトヨタならではの”企業戦略”ではあるだろうが、製造業の要である特許すべてを無償提供することは、そう簡単にできることではない▼ホンダや日産自動車も15年度以降、FCV発売を計画しているという。高価格や水素ステーション整備といった課題をクリアして、普及促進が加速されることが望まれる。