27年3月6日号

 2月20日、文部科学省「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)」成果報告シンポジウムが都内で行われ、10年間2期にわたる活動の概要が紹介された。感染症の海外流行地に日本の研究者が出向いて、現地の研究者と一緒に日々研究に取り組むという、現代の野口英世ともいうべきかつてない研究体制を築いた同プログラムは、平成15年に中国で大流行し、世界各地に広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)をきっかけに立ち上がった。そして、この10年間、日本の8大学と2研究機関がアジア6カ国とアフリカ2カ国に13拠点を設け、それぞれに研究者を派遣して活動を展開し、多くの研究成果をあげると共に、現地での人材育成、感染予防や患者救命など相手国に様々な貢献をして、科学技術外交の先駆けになってきた。世界の感染症流行地で日本の研究者が常駐して研究していることで、世界で起きている感染症の生情報が日本に直接入ってくる。「感染症に国境なし」と言われる脅威に対し、日本への侵入を水際で防ぐための有効な手段にもなっている。その有意義なプログラムは評価され、次年度に引き継がれることになった。平成27年度からの第3期目は「感染症研究国際展開戦略プログラム」に衣替えをして、新年度に発足する日本医療研究開発機構(AMED)が展開する新興・再興感染症制御プロジェクトの中で引き続き推進される。この第3期プログラムでは、海外拠点の基盤強化をはかり、全国の大学や研究機関に開かれた研究拠点として活用し、各地でまん延する新興・再興感染症の疫学調査や診断治療薬などの研究を進めることになっている。是非、これまでのJ-GRIDの精神を引き継いで人類共通の脅威に立ち向かい、従来にも増した研究成果、海外貢献を成し遂げて欲しい。