27年6月19日号

 オープンイノベーションの必要性や重要性が指摘されて久しいが、日本企業におけるオープンイノベーションはなかなか進まないし、国立研究開発法人や大学もそうした世界の潮流に乗れていない。産業競争力会議で甘利経済再生相は、イノベーション・ナショナルシステムの構築が必要だとして、産業技術総合研究所をモデルとして、ドイツのフラウンホーファーのように橋渡し機能を強化すべきと指摘している▼では、フラウンホーファーと産総研はそんなに違うのか、比較してみよう。人数はフラウンホーファー2万2000人に対して、産総研3190人、予算は25億ドル対9億ドルで産総研の約3倍、保有特許数は9000件対1万6000件と産総研の方が上回っているが、知財収入となると1億3000万ドル対240万ドルで産総研の方がかなり少ない。つまり、産総研の知財への投資効果はフラウンホーファーの20分の1程度ということになる▼では、技術レベルが低いということなのか。ナインシグマという世界中の大手企業に研究所や企業の持つ技術を紹介し、マッチングさせる会社がある。提示された大手企業のニーズに対して、各研究所や企業等が技術を提案する。過去7年間の技術募集に対して、フラウンホーファーは123件提案し、21件が一次選考を突破した。産総研は10件しか提案していないものの8件が一次選考を突破。勝率で見ると17%と80%(世界平均10%程度)と、技術に対する評価は産総研の方が高いといえる▼つまり、大上段にシステム改革を唱える以前に、産総研のマネジメントでオープンイノベーションを促進する余地が多いということだ。理事長の経営手腕が問われている。