27年7月31日号

生命科学や医療の進展により、実に多くの情報が蓄積されているが、現在の日本のシステムではそれを十分に活かしきれていない。自治体間、機関間、プロジェクト間でのデータ連携が不十分であるためだ▼政府は今年度末までに「医療等分野データ利活用プログラム(仮称)」を策定する。2020年までを目標に、国等が保有する医療等分野の関連データベースについて、患者データの長期追跡及び各データベース間での患者データの連携実現に向けた基盤整備を行うとともに、国等が保有するデータを活用した医療の標準化や質の評価の仕組み、費用対効果分析や医療介護費用の適正化、地域における医療機能の分化・連携に資する分析、研究開発、医薬品等の安全対策等の活用方策(情報の取り扱いに関するルール等の検討も含む)についても明示する▼別々の病院から同じような薬を処方されたり、同じような検査を何度も受けるといった、ムダな医療を削減することや不正請求を防ぐこと、医療・介護のレベルアップなどが一義的な効果として考えられるが、さらに一歩進んで、個人の健康・医療情報とゲノム・オミックス情報などをビッグデータ解析することができれば、日本の医療や生命科学研究に革命的な変化をもたらす可能性がある▼個人情報保護、関係者の利害関係の調整、国民の理解など、実現には多くのハードルを乗り越えなければならない。それゆえに、これまでなかなか進んでこなかったが、その後の経済効果や健康寿命の延伸、研究開発レベルを考えれば、努力すべきであるという共通理解が政府内ではできつつある。このようなタイミングを見誤らずにアカデミアとしても何らかの考え方を示すべきだろう。