27年9月18日号

 日本の保健システムを途上国・新興国に展開することで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を実現し、なおかつ日本の医療技術やサービスを海外展開しようという取り組みの方針が、健康・医療戦略推進本部で決定された。UHCというのは、すべての人が生涯を通じて必要なときに基礎的な保険サービスを負担可能な費用で受けられる状態のことだ▼エボラ出血熱やMERSへの対応では、国際社会の連携の遅れから、封じ込めに失敗し、発生国以外での感染者を出してしまった。また発生国では、ただでさえ脆弱な医療システムが感染症の発生によって機能不全を起こし、通常の医療サービスも受けられないという状況が生まれた。こうした事態を防ぐには、緊急的措置として封じ込め対策に、各国、国際機関、NGO等が連携して取り組むとともに、基本的な保健システムを途上国や新興国に構築する必要がある▼UHCが実現している国は先進国の一部だけで、その意味から日本の国民皆保険制度は高く評価されている。もちろん、この制度をそのまま他国に適用することは難しいが、日本の持っている経験やシステムを活かして、他国に質の高い保健システムを構築することは可能だ▼今回決定した「平和と健康のための基本方針」では、こうした取り組みを通じて国際貢献していくことが示された。今月末の国連開発サミットで、保健衛生分野も含め、16年から始まる新たな国連開発目標が設定される。さらにG7ベルリン保健大臣会合、G20アンタルヤ・サミットが行われ、来年のG7伊勢志摩サミット、その後のアフリカ開発会議に繋がっている。国際貢献と国際展開を両立した具体的取り組みが期待される。