27年11月6日号

 財政健全化という目標に対して、財務省が必死になって財政支出を抑制しようと考えるのはわかるが、今回の提案はあまりにも暴論であろう▼例えば、産学連携収入を増やそうとしても、これまでの運営費交付金の削減で国立大学の基礎体力が落ちてしまい、共同研究相手としての魅力は低下してしまった。また、競争的資金の増加によって数年で成果の出る研究分野にシフトしていったため、企業が本当に大学に求める一見地味だが重要な研究分野は弱体化した。もちろんこれはアカデミア側にも問題はある▼しかし、こうした前提条件のもとでさらに運営費交付金を減らすことは大学の研究力をさらに低下させてしまい、世界で最もイノベーションが起きやすい国という政策目標とは真逆の結果を生むだろう▼投資効率の面から見ても、目的達成型プロジェクト研究が増え、基盤的な経費が減ったことはマイナスである。同じ予算規模であっても、使い方が制限されてしまっては、研究成果を最大化することなどできないからだ。また定数管理など、自由な運営を妨げる規制も多い。結果として、研究力が相対的に低下したことはむしろ必然であろう▼重要なことは、現在の財政や会計のルールを変え、より効率のよい使い方ができるようなシステム改革である。例えば、FIRSTから始まり、科研費の一部に定着した研究費の基金化で、研究効率が上がったことは一つの成功事例である▼政府研究開発投資についても、これまで科学技術関係経費の算定ルールを変えることで水増ししてきた経緯を無視して、あたかも大幅に増加したように見せるのはフェアではない。きちんとしたエビデンスベースの議論が必要である。