27年12月4日号

 現代人のおよそ4割が口の渇き(口腔乾燥)を自覚しているというデータがある▼その大きな要因の1つに、食品加工技術の進歩により、咀嚼しなくても消化できる食品が出回り、唾液の分泌が抑えられることがあげられる。そういえば筆者自身も、最近、噛むことが減ってきていることは実感としてある。そもそも口腔の働きの中で、最も重要な存在が唾液である▼健常者で1日に1・5リットル程度分泌される。唾液の大半が水分であるが、そこには数多くの無機物質のほかに、アミラーゼやリパーゼといった消化酵素、ペルオキシダーゼなどの活性酸素を除去する酵素など有用な物質が含まれている▼効果としては咀嚼や嚥下(飲みくだすこと)時の潤滑材としての補助作用、歯や粘膜を守る保護作用、口腔内を洗い流す洗浄作用、味覚に関与する溶媒作用、口腔内を中性に保つ緩衝作用などその働きは多岐にわたる。人間は、体重の2倍から3倍の力で噛んでいるという▼特に子どものうちからたくさん咀嚼することで顎の骨は発達し、消化を助けるだけでなく、脳に刺激を与え丈夫な身体をつくると考えられている。生理学者も「口に水を含みある程度したら、吐き捨ててうがいをする。これを2、3回繰りかえすことで口が潤い、唾液の分泌が促進される」と指摘する。やはりたくさん咀嚼することで、唾液の分泌が促進される▼咀嚼は人間ばかりでなく動物にとって必然的な行為で、そこから生み出される唾液の有用性を再認識してほしい。