28年2月26日号

学術会議が高校の理科教育のあり方について提言を行い、物理、化学、生物、地学という領域別の4教科を再編した「理科基礎」のような必修科目を新設すべきだと提案した。その目的は、科学リテラシーを全ての高校生に身につけさせるためとしている▼非常にいいことだと思う。高度に発展した現代社会において、人間がつくり出す社会と自然界との関わりを理解したり、複雑多岐な人間社会を理解したりするには、やはり合理的で冷静な姿勢が大事である▼そのためには、科学的知識や物事に対する科学的な思考力が必要である。単に科学好きな人間を増やすということではなく、科学的な知識と思考力に基づき、的確に行動できる人間を増やすことが大事だと思う。例えば東日本大震災に見られるような、大規模災害に直面した時の人々の行動である▼地震についての知識や経験のある人とない人では、その際にとる行動に違いが出るだろう。適切な情報がどこかからすぐに与えられればいいが、緊急時にはそうはいかないものである▼揺れの大きさと自分がいる場所、その耐震状況を考えながら、逃げた方がよいか、そこにとどまってしばらく様子を見るのがいいかなどを、直感的にとらえて行動するためには、やはり科学的な知識や思考力が備わっていた方がいい▼世界中でいま大きな問題になっている地球環境問題や温暖化問題などへの対応などは、科学的知識や思考力が一層必要であり、そうでないと問題をよく理解することすらできないだろう▼しかし、逆にこうした問題を科学的な知識や思考力を持って考えられる人が一人でも増えれば、問題解決が少しでも前進するのではないか。そうした人間を育てるには、科学リテラシーを身につけさせる教育が不可欠である。