27年4月15日号

第5期科学技術基本計画では、サイバー社会と現実社会との融合を目指す「ソサイエティ5・0」という超スマート社会の実現が大きな目標の一つになっている▼人工知能(AI)が囲碁の世界チャンピオンに勝つなど、情報技術は大きく進展し、我々の生活にも大きく影響を及ぼすようになってきている。その一つが、ビットコインで一躍有名になったブロックチェイン技術。公開管理された元帳を、P2Pネットワークと電子署名の連鎖によって確かなものであることを実現する。誰もが公開検証できるようにすることで信頼性を担保し、改竄や二重使用ができないようにしている▼ブロックチェインによる新たなビジネス開発に向けて、IBMやマイクロソフト、シティバンクなどは専用の研究所を立ち上げている。またシリコンバレーでは、ブロックチェイン技術を応用したベンチャーが次々と立ち上げられている▼ところで、ブロックチェインは本当に安全なのだろうか。実は、安全であることの証明や検証は十分になされていない。既に明らかになっている例で言えば、ビットコインのネットワークを構成する計算資源の51%以上を一つの主体が持つことで、ブロックチェインの更新を自由にコントロールできるようになる51%攻撃、マウントゴックスで使われたMalleabilityを利用した攻撃などがある▼ビットコイン登場後7年弱で既に数千億円の資金が流入しており、ブロックチェイン技術の確かさが確立しないまま、新たなビジネスが次々と生まれている。投資やビジネス開発のスピードに技術が追いついていないが、暗号分野の研究者の育成や研究には十分な投資がなされていない。超スマート社会の実現には足元を固めることが必要だ。