28年6月24日号

 分科細目の廃止に伴う大分類・中分類・小分類の導入、総合審査方式の拡大、2段階書面審査の導入、特定領域研究の回数制限など、科学研究費補助金が大きく変わろうとしている▼日本最大の競争的資金である科研費は、これまでも研究費改革をリードしてきた。手続きなしでの費目間流用枠の拡大、年度繰り越しの簡素化、運営費交付金等等との合算使用など、その使い勝手を向上させ、さらに他の競争的資金の運用改善にも大きな影響を与えてきた。それでも今回の大改革が行われるのには、それなりの理由がある▼一つは、分科細目ごとの申請数や申請金額の合計で、その分科細目への配分金額・採択件数が決まるという仕組みだ。本来、この仕組みは研究領域の活性度や研究者数の多さを反映するために設けられたものだが、これを逆手にとって、採択されないのを覚悟で申請書を出すことで、その領域の配分額を不当に増やそうという動きがある。結果、申請数が水増しされ、審査に大きな負担がかかるという事態も発生している▼また、研究の進展に伴って、一つの領域だけで研究を行うよりも、他分野との共同によって、新たな科学が生まれる時代になってきている。従来の分科細目では、こうした融合領域の研究をうまく審査できないため、中分類といった審査区分が導入されることになった▼さらに基盤的経費の減少に伴う研究費確保のため、各大学等が組織として申請数を増やしてきていることも審査システム改革の原動力になっている▼いずれにしろ、科研費は日本の研究コミュニティの活動を支えると同時にコミュニティを表す鏡でもある。改革の成否はコミュニティの健全性にかかっている。