28年7月1日号

夏の夜空を見上げると天の川を挟んでひときわ美しく輝く2つの星が牽牛星(彦星)と織り姫星。一年に一度、7月7日の七夕の日に出会うことが許されるという昔話で有名であるのだが▼この物語を生んだ天の川が見られなくなるかもしれない。欧米の研究チームによる調査分析で現在、世界の人口の約8割の人が街の灯などによる「光害」の影響を受けているという結果がでた。研究チームでは、高解像度の衛星写真をもとに、世界各国の地域ごとに自然状態の夜空と、人工光による「光害」とを比較している▼それによると米国で約8割、日本でも7割、シンガポールにいたってはほぼ全土で夕焼けのように薄明るい夜が続くそうだ。一方で、アフリカ大陸では、人口の6割から8割程度は自然の夜空が期待でき、天の川を見ることができる。専門家によると「東京のような大都会では明るすぎて大口径の天体望遠鏡を使っても天体観測ができにくい状況にある」と指摘する▼確かに大都会は眠らない。真っ暗闇が怖くて親と一緒でなければ外には出られないといった経験や星が降るほどの夜空を見上げるといったことは、都会ではもうできないのかもしれない。人間がその明るさに慣れてしまっているのも事実だ。これは文明の発達によってもたらされたことでもある▼世界には美しい夜空や満天の輝く星々を題材にした民話や唱歌は数多く存在する。その光景が見られなくなるのは、財産を失ったようで残念でならない。