28年7月29日号

AI(人工知能)とIoT(モノがネットにつながる)への関心が高まり、これらを社会実装して新産業創出に結びつけていこうという動きが活発だ。インターネットで後塵を拝した日本でも、今度は乗り遅れまいと国をあげた産官学の取り組みを展開している▼しかし、インターネット社会の進展で最大の課題は、やはりそのセキュリティである。マルウェアなどによるサイバー犯罪はネット社会の進展に伴って増え続けており、その手法も進化する一方だ▼そして今度は、ネットにAiやIoTといった新技術を導入し、これまでの情報流通を中心としたネット社会から、モノに対する制御や分析、さらには判断などもネットが担う、一層高度な新世代のネット社会を築こうとしている▼確かに、これらの新技術は、善意の人たちが善意の目的に用いるのであれば、ビジネスをはじめ、生活や医療、教育など、社会にとって大きな利益をもたらすことが期待できる。しかし、現在のサイバー犯罪の現状を考えれば、そうした期待は到底持てそうにない▼総務省情報通信政策研究所が開催するAIネットワーク化検討会議がまとめた報告書「AIネットワーク化の影響とリスク」でも、ロボットの乗っ取りなどを例にあげ、そのリスクの重大さを指摘している▼とはいえ、ネットはオープンであり、市場の先取りを急ぐ企業などが、いつネット上でビジネスを開始するかは分からない。その時、もしAIやIoTが暴走したら、甚大なリスクを被る可能性は否定できない▼まずは、これらの新技術を見極め、どういうレベルで応用して社会に実装できるのか、その検討を急ぐべきではないか。いくらセキュリティ技術を高度化しても守れないことは、現状をみれば分かるのだから。