28年10月14日号

大隅良典東京工業大学栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞のニュースは、日本中を明るくした。一方で、大隅教授が憂えている「基礎的な研究ができにくくなっている」という状況について、政府も解決の手段を見いだせていない▼国立大学の法人化と運営費交付金の削減が、各研究室に配分される校費の削減につながり、科研費を申請する以前の非常に基礎的な研究が行えなくなっていることが、大きな問題だ。最近は旧帝大系でも研究室を維持する最低限の資金すら賄えないのが現状だ。では、これをどうすれば解決できるのか▼一つは、研究と教育をある程度切り分ける必要がある。教育に必要な経費が確保できないのでは、そもそも学費に対する教育サービスを提供できていないということになり、高等教育機関としての存在意義が問われることになる。研究については、取り組んでいる分野によって必要な経費は大きく異なるため、各分野ごとに最低限必要な経費を見積もる必要がある。その上で、本当に必要な資金規模をつまびらかにし、国民に問うことが大切だ▼行財政改革という向かい風の中、税金の使い方については厳しい目が注がれている。経営の効率化・合理化、無駄の排除などは必要なことだが、同時に本当に大切なことは何なのかを明らかにし、大学として守るべきものを守らなければ、20年後、30年後のノーベル賞受賞者は生まれないだろう。