29年6月16日号

科研費審査システムの改革がいよいよ本格的に始まる。9月の公募からは、審査区分・審査方式が全面的に改定される▼そもそも科研費システムを改革しなければならない背景には、学問領域の細分化とそれを再構築することで研究の新たな展開を図っていくという世界的な動きがある。科学技術・学術政策研究所が2年ごとに公表しているサイエンスマップでは、被引用数が高いトップ論文で構成されるホットな研究領域を共引用関係から抽出しているが、ここ数年、新たな研究領域が増加し、2002年から14年では41%も増えている。例えば、生命科学とナノサイエンスの間には多くの研究領域群が生まれてきた▼問題は、こうした研究領域群における日本の存在感が低下しているということだ。領域を先導するコアペーパーにおける参画数とサイティングペーパー(トップ10%論文)における参画数の比をみると、日本が43%であるのに対して英国は69%、ドイツは63%となっている。つまり、日本の研究者が先導者ではなくフォロアーになっている割合が高いということだ▼では、どうしたら世界を先導できる領域を切り拓くことができるのか。そのキーワードが「融合」である。学問領域間の融合、異なる価値観の融合。分科細目表が廃止され、大中小の区分に分け、さらに小区分で申請数が多い場合はキーワードではなく、機械的に分割する。2段階書面審査や総合審査も異なる視点を審査に導入するためのものだ▼一番の問題は、研究者自身の姿勢である。科研費審査はピアレビューで行われるため、審査する側と申請する側がともに今回の改革の意義を理解し、それぞれ実践することができるかが改革の成否を決める。