29年6月30日号

米国のトランプ大統領は6月1日、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に表明した▼トランプ氏は、もともと事あるごとに離脱をちらつかせていたが、それが現実となると何か虚しさを、いや怒りさえ覚える。米国は、中国に続く世界で第2位の温室効果ガスの排出国であり、オバマ前大統領は地球温暖化対策にはかなり熱心に取り組んできただけに、この落差ははかり知れない▼「アメリカ第一主義」で、これから自国の産業の保護だけに走り、化石燃料を燃やし、温室効果ガスを排出し続けるのだろうか。そんなことが許されないのは自明の理ではないのか。一応、米国も国内の優先順位に従い、強い経済と健全な環境を両立させつつ、協定の枠外から引き続き温暖化対策に取り組むことにはなっているが、米国内でも失望の声が上がっている▼12日の主要7カ国(G7)環境相会合では、「パリ協定の実施に向けて連携を図る」とする共同声明を採択した。これにより米国との深刻な対立は防げたとの認識がある一方で、すでに独仏伊と英、カナダ、日本との足並みの乱れがあらわとなっている。これに対しては国連環境計画(UNEP)のソルハイム事務局長が「最大の成果は、ホワイトハウスで何が起きようが、日本、欧州、カナダの6カ国が温暖化対策で前に進むと決意したことだ」と強調した▼この決意を無駄にしないためにも、パリ協定は効果的な手段であることを世界が共有することが大切だ。