29年9月8日号

全国で様々な演習行事が行われた9月1日「防災の日」の由来は、大正時代に起きた関東大震災である。近年も東日本大震災や熊本地震など、多大な被害を与えた大地震が発生しており、地震大国の脅威を、いまも多くの国民が思い知らされている▼しかし、こうも大地震の多い国なのに、その備えは本当に十分なのか。国や多くの自治体が、今回の「防災の日」にも地震を想定した防災演習を実施した。日頃からも、地震に備えた準備や訓練を重ねている▼でも、それだけで本当に大丈夫なのかと、重ねて問うてしまう。人、建物、資産、機能が過密に集積した首都圏に長らく居住して、日々、大都市のメリットを享受しながらも、そのリスクを味わっているからである▼「防災の日」を前に、8月28日、日本学術会議が公開シンポジウム「大地震に対する大都市の防災・減災」を開いた。公表した提言「大震災の起きない都市を目指して」を説明し議論するためである▼ここでは過密な大都市の災害リスク分散が指摘され、東京一極集中や大都市への過度な人工集中・機能集中を是正するための国土計画を立て、実行していくべきだとする提言があった▼海抜ゼロメートル地帯や軟弱地盤域の高層ビル・住宅は、長周期の揺れで大被害を受ける危険性が高いため、居住や活動により適した地域へ移動するなど、適地選択を行うべきだという提言もあった▼しかし、戦後に長い年月をかけて築かれてきた大都市構造である。一朝一夕で変えることはできず、すべての対策を講じるのは容易ではないと提言でも述べている▼とはいえ、いつなのかは分からずとも必ず来るとされる大地震である。できる限り最小被害にとどめるため、過密な都市部の分散へ向けた計画を、一刻も早く国をあげて進めるべきである。