30年2月9日号

人工知能関連のトップ1%論文占有率は、米国24・6%、中国19%となっており、日本は2・1%でしかない。研究開発投資額も米中に比べて、日本の規模は非常に小さい。人材も同様だ。こうした中で日本に勝つチャンスはあるのか▼産業技術総合研究所人工知能研究センター長の辻井潤一氏によるとAI研究のフェーズがシフトしているという。つまり、現在主流の巨大なデータセットを学習させるAIから、IoTやロボットと組み合わせるAIへの変化だ。現在の投資・研究規模から考えると、前者では米中と勝負にならないが、後者の研究開発・社会実装であれば、日本の強みを活かし競争力を発揮することができる可能性がある▼ATRを中心に開発・社会実装が進んでいる脳画像とAIを組み合わせたニューロフィードバック技術は、世界でも有数のものである。実際、幻肢痛の緩和など、医療分野での応用も世界に先駆けて進みつつある。ImPACT原田プロジェクトでは、数万個規模の各種センサなどから生成される大規模データを数秒で解析・処理できるシステムを開発しており、社会実装も進みつつある。光研究や技術は数多くある▼いわゆるビッグデータは、現在までに生みだされたものより、今後、生成されるものの方が多い。また各種センサやモノづくりの技術は日本の得意分野でもある。この強みを活かすことで、AI技術分野で日本が主導力を持つことは可能であろう▼何をすべきか。例えば、国には社会実装に向けたルール作りや環境整備が、企業にはビジネスモデル構築と産学での研究開発に対する大規模投資が、大学には基礎に立ち返った研究開発とともに人工知能開発方法論といった知識体系の構築が求められている。こうした取り組みを産学官が一体となって進めることが重要だ。