30年4月13日号

我々は常に感染症のリスクにさらされている。感染症といっても、ごく軽度の風邪から致死率の高いエボラ出血熱や狂犬病まで様々で、風邪やインフルエンザならば日本でも毎年流行する。一方で、マラリア、結核、エイズは世界3大感染症といわれ、その伝搬性や対策経費の大きさから世界保健機関(WHO)もこの対策の国際協力を推進している▼2014年、東京の代々木公園を中心とした海外渡航歴のないデング熱感染者の発生は、大きな問題となった。その後、公園は閉鎖され、調査と薬剤散布が行われた。デング熱はネッタイシマカなどの蚊が媒介するデングウイルスを原因としている▼グローバル化が進む中で、こうした感染の日本への侵入は避けられない。空港等でサーモグラフを用いた水際対策なども行われているが、完全な阻止は不可能と考えられている▼先日、順天堂大学は、アフリカでこれまで確認されていなかった薬剤(アルテミシニン)耐性マラリア原虫の発生を確認したと発表した。東南アジアでは既に耐性原虫が確認されていたが、患者の9割が存在するアフリカでの発生は初めてだ▼多くの国が隣接しているアフリカでは、国によって対策の程度が異なり、国境からの人や物の流入が容易で、WHOなどの活動により患者数や死亡数は減少しているが、撲滅は簡単ではない。同薬剤は経口投与で簡便に高い効果をもたらすため、耐性原虫の拡大は深刻だ▼マラリアは医療制度の整った日本での拡大は考えにくいが、我々は注意すべき感染症に取り巻かれている。狂犬病の予防摂取率は平成28年度の登録頭数の平均約70%程度であり、性感染症の拡大も問題になっている。日本人は感染症に対して疎いといわざるを得ない。対岸の火事ではなく、当事者としての自覚と対策を期待したい。