オスの性機能を調節する脊椎神経回路「哺乳類で普遍的」

岡山大学大学院自然科学研究科の坂本浩隆准教授と、近畿大学、岡山理科大学の研究グループは、モグラの近縁種である真無盲腸類のスンクス(ジャコウネズミの実験動物名)と齧歯類のハツカネズミを比較して、オスの性機能を調節する脊髄神経回路が哺乳類で普遍的であることを明らかにすることに成功した。
 オスの性機能をつかさどる神経ネットワークは、脳と脊髄の多くの部位から構成されていることが知られている。研究グループは、これまでラットやハツカネズミといった齧歯類において、脊髄(腰髄)に存在するガストリン放出ペプチド(GRP:ブタの胃から単離された生理活性ペプチド)系がオス優位な神経回路を構築し、オスの性機能(勃起や射精)を調節することを報告してきた。
(29年6月2日号)

「中学生の自己管理支援」NTT西が睡眠教育

 NTT西日本は、良質で十分な休息を取れる文化をつくる睡眠サポートプロジェクト「Peels」を、6月中旬以降開始する。
 第一弾として、すららネット(東京都千代田区)と、睡眠改善を基点に子供の集中力や意欲にあふれたライフスタイルをサポートする「睡眠教育(眠育)」プログラムに関する共同トライアルをスタートさせる。
 トライアルでは、睡眠に関する知識教育を進めた上で、睡眠時のバイタルデータや学習履歴などの情報を収集し、総合的に分析して生徒にフィードバックすることで、睡眠改善と学習パフォーマンスを向上させる「眠育」プログラムの実現性・有用性を評価する。
(29年6月2日号)

「農業データ有効活用」産学官23機関が連携基盤整備

 経験や勘に基づく高付加価値農業を新規参入者や、ノウハウを持っていない農家でも使えるようにするための「農業データ連携基盤(データプラットフォーム)」を産学官23機関が参加して立ち上げる。今年度中にプロトタイプの稼働を開始し、来年度には運営組織を設立する予定。再来年度4月をめどにサービスの本格提供を開始する。慶應義塾大学SFC研究所が中心となって、内閣府革新的イノベーション創造プログラム「次世代農林水産業創造技術」の一環として実施するもの。
 これまでの日本の農業は、農業者の長年の経験や勘により、様々なおいしい農産物を生み出してきたが、高齢化の中でそうしたノウハウが失われようとしている。そこで、作物の生育状況や圃場の環境、農業者の持つ経験や勘をデータ化すれば、若い農業者や新規就農者などが早期に経験や勘を習得できるようになるほか、データを比較・分析することで農業者に様々な気付きをもたらし、生産性の向上や経営の改善につながることが期待できる。
(29年6月2日号)

「オスとメスの効率的出会い」互いに別の動きが最適

 京都大学大学院農学研究科の水元惟暁氏(大学院生)、土畑重人助教、国立情報学研究所ビッグデータ数理国際研究センターの阿部真人特任研究員の研究グループは、オスとメスが互いに探索しあう状況を想定した理論モデルを構築し、探索時間が限られている時にはオスとメスで異なる動きをするのが双方にとって最適であることを発見した。また、生物進化を模擬したシミュレーションを行うことで、動きに性差が生まれることを明らかにした。
 どのように動けば、効率よく目的の物を見つけることができるのか。これはランダム探索問題と呼ばれ、動物の探索行動だけでなく幅広い現象で生じる問題である。研究グループは、オスとメスがそれぞれの動きのパターンで探索しペアが生じたものから探索をやめる、相互探索の状況を考えたシミュレーションモデルを構築した。そして限られた制限時間内でそれぞれの動きのパターンをしたオスとメスが出会えたかどうかどうかで、探索効率を計測した。
(29年6月2日号)

清酒の酒質分析 味の違い数値化

 白鶴酒造研究室の明石貴裕研究室長らは、日本酒(清酒)の酒質(香味、あじわい)をガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)装置で分析、原料米ごとの酒質の違いや、押し味(しっかりした後味)に関連する複数の成分を発見した。龍谷大学で行われた日本分析化学会の第77回分析化学討論会で発表した。
 清酒の分析では一般に、甘辛の目安となる日本酒度、アルコール度数、酸味やうまみの指標となる酸度、コクやうまみを表すアミノ酸度などの値を利用する。しかしながらこれまで、これらの分析値が一致していても酒質に違いがあった。そこで明石氏らは、これまで検出していなかった清酒の揮発性成分や親水性の低分子成分などに注目し、GC/MSを用いて多成分解析を行った。
(29年6月2日号)

「木星のオーロラ」爆発的増光とエネルギー輸送機構解明

 理化学研究所仁科加速器研究センターの木村智樹基礎科学特別研究員らの国際共同研究グループは、木星のオーロラの爆発的な増光と、それに伴うエネルギー輸送機構を、宇宙機の観測から明らかにした。日本地球惑星科学連合学会で発表した。
 木星では、周辺の宇宙空間から木星磁場に沿って極域へガスが降り注ぎ、大気と衝突することでオーロラ(発光)が生じる。木星は、地球の2倍以上の速度で自転しており、その磁場は地球の約2万倍となる。さらに火山活動が活発な衛星「イオ」は二酸化硫黄などのガスを木星周囲に振りまいている。
(29年6月2日号)

日常の検査値と高血圧の関連解明めざす共同研究開始

東北大学東北メディカル・メガバンク機構とオムロンヘルスケアは、コホート調査参加者のうち5千人に対し、日常生活における尿中のナトリウムとカリウムのバランス(塩分と野菜や果物の摂取バランス)、身体活動量、睡眠状態を参加者自身が10日間測定し、高血圧などとの関連を明らかにするための共同研究を開始した。同機構地域住民コホート室長の寶澤篤教授は「全ての人が自分個人の体質を知って、生活習慣を目に見える形で評価し、病気の予防に努める社会をつくっていきたいと思います。それに役立つエビデンスをオムロンヘルスケア社と我々が共に構築する、自分で測り自分で創る健康社会を目指します」と話した。
(29年6月2日号)

皮膚細胞で概日リズム睡眠‐覚醒障害患者の体内時計周期を同定

 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部の肥田昌子室長、三島和夫部長らの研究グループは、これまでに皮膚の線維芽細胞内における時計遺伝子の転写サイクル(末梢時計周期)を測定することで個人の体内時計の周期(1日の長さ)を簡便に推定する手法を開発した。今回、医療への応用研究に挑戦し、概日リズム睡眠-覚醒障害に罹患した患者の末梢時計周期を測定し、診断的意義を検証した。
(29年6月2日号)