科研費配分状況公表

 文部科学省は10月10日、今年度の科学研究費補助金の配分状況を公表した。主要種目で10万1247件の新規応募があり、2万5313件が採択された。新規採択率25%で、昨年より1・4ポイント低下した。継続分も合わせた7万5563件に対して、約2117億円(直接経費・間接経費の合計)が配分された。科研費の新規採択率は、11年度の28・5%から右肩下がりで低下している。なお応募件数・配分額はともに過去最高。
(29年10月13日号)

学術会議新会員 梶田隆章氏ら105人

日本学術会議の第24期新会員105人が安倍晋三首相から任命された。日本学術会議会員は定数210人、任期6年、定年70歳で再任は原則不可で、3年ごとに半数を改選している。新会員のうち、女性会員は35人で、継続会員も含めた第24期会員全体では、3年前の第23期発足時から20人増の69人となり、男女共同参画基本計画の成果目標30%を超え32・9%となっている。新会員の平均年齢は58・4歳。
(29年10月13日号)

「安価な材料で超伝導実現」酸化チタンの新機能発見

 東京工業大学物質理工学院の吉松公平助教、大友明教授の研究グループは、物質・材料研究機構と共同で、光触媒材料として知られる二酸化チタン(TiO2)の類縁化合物である七酸化四チタン(Ti4O7)とガンマ型の五酸化三チタン(γ-Ti3O5)で超伝導が発現することを発見した。
 酸化チタンは、光触媒材料として知られるTiO2を代表として、チタンと酸素の構成比率に応じて、複雑な組成・結晶構造を取る材料系である。研究グループは、酸化チタンの多様性に着目し、薄膜形状での組成・結晶構造の制御を試みた。その際、パルスレーザ堆積法を用い、高温・強還元の環境下で酸化チタンの薄膜を合成し、TiO2とは異なる酸化チタンを得た。大型放射光施設SPring-8での高輝度放射光X線回折実験により、得られた酸化チタンがTi4O7とγ-Ti3O5の組成・結晶構造を持つことを明らかにした。また、これらの薄膜の電気抵抗を測定し、極低温で電気抵抗がゼロとなることを見いだした。
(29年10月13日号)

炊飯米の硬さと粘りを調節するDNAマーカー開発

農研機構中央農業研究センターの山川博幹氏、石川県立大学の高木宏樹氏らの研究グループは、炊飯米の硬さと粘りを段階的に微調整できるDNAマーカー(育種ツール)を開発した。10月7日から岩手大学で行われた日本育種学会2017年秋季大会で発表した。
(29年10月13日号)

低温で液体的にふるまう氷発見

 太陽などの恒星や地球のような惑星は、分子雲とよばれる星々の間を漂うガスの雲から誕生する。北海道大学大学院理学研究院、同大低温科学研究所、宇宙航空研究開発機構の研究グループは、この分子雲に存在する氷(星間氷)を模した紫外線照射非晶質氷(水・メタノール・アンモニアの混合氷)が、マイナス210~マイナス120度Cの低温で、これまで考えられてきた固体状態ではなく、液体的にふるまうことを発見した。また、純粋な水からなる氷も紫外線照射によりマイナス220~マイナス130度Cで液体状になることを見いだし、紫外線照射で現れる液体的なふるまいが、水氷に特徴的な現象でもあることを明らかにした。

「脳卒中後の痛み再現」モデル動物開発

産業技術総合研究所(産総研)人間情報研究部門の長坂和明日本学術振興会特別研究員、肥後範行主任研究員らの研究グループは、脳卒中後に生じる痛みである脳卒中後疼痛を克服する技術を開発するため、人と同じ霊長類であるサルを用いて患者と近似した症状を起こすモデル動物の開発に成功した。
(29年10月6日号)

北極のブラックカーボン 主な発生源はロシア、東アジア

 北極圏の気候や環境への影響が懸念されるブラックカーボン(BC)はどこから来るのか。国立環境研究所の池田恒平特別研究員と谷本浩志室長らは、海洋研究開発機構と共同で、BC粒子について、独自に開発したタグ付き全球化学輸送モデルを使って、アジア、北米、欧州、ロシアなど主要な汚染地域からの関与率を明らかにした。
 BC粒子は、エアロゾルの一つで、すす粒子や元素状炭素とも呼ばれる。ディーゼルエンジンの排気ガス、石炭の燃焼、森林火災、薪などバイオマス燃料の燃焼など、炭素を主成分とする燃料が燃焼した際に主に発生する。太陽光を吸収する性質があり、大気を加熱したり、積雪や海氷面に沈着して太陽光の反射率を下げ、氷の融解を促進することで、気候変動を加速する可能性が指摘されている。北極圏は、地球上で最も速く温暖化が進行している地域だ。
(29年10月6日号)

新デザインのフラグメント抗体が小型フォーマット開発

 大阪大学蛋白質研究所の高木淳一教授らの研究グループは、全く新しいデザインによるフラグメント抗体のフォーマットの開発に成功した。
 近年、バイオ医薬品として注目されている抗体分子は、研究用のツールとしても様々な分野で応用されているが、その際、全長の抗体をそのまま使うのではなく、用途によっては断片化して小さくした抗体「フラグメント抗体」が利用されることもある。フラグメント抗体は、いろいろなデザインのものが開発されているが、生産性や安全性に問題があり、その生産にもコストがかかるのが現状だった。
 高木教授によると「そこで、抗原への結合という抗体の特徴を保ったまま、これを小型化して生産コストを下げた人工タンパク質をデザインしようと思い立ちました」という。
(29年10月6日号)