科学技術白書「イノベーション基盤の強化詳述」

 政府は6月12日、平成29年度科学技術の振興に関する年次報告、いわゆる科学技術白書を閣議決定した。特集で国連持続可能な開発目標(SDGs)と科学技術イノベーションの推進について、紹介しているほか、第1部で科学技術イノベーションの基盤的な力のさらなる強化に向けて、現状分析と課題、今後の取り組みの方向性を記述している。
 人材力、多様な研究活動を支える知の基盤、研究資金が科学技術イノベーションを支えているが、論文の質・量の低下、政府研究開発投資の伸び悩み、博士課程進学者・若手研究者・研究時間の減少など、その基盤が揺らいでいる。
 一方で、中外製薬と大阪大学、武田薬品と京都大学など、組織対組織の産学連携プロジェクトが加速し、また大学発ベンチャー36社の時価総額が1兆円を超えるなどの成果も出ている。
 そこで白書では、URAのさらなる活躍促進や人事・給与マネジメント改革、特別研究員制度などの若手研究者の支援充実、先端大型研究施設の整備充実などによって、大学等の基盤的な力を強化していくという。
(30年6月15日号)

自分に合った学問が見つかるツール開発

 京都大学学際融合教育研究推進センターは、1757人の研究者の”生の声”をもとに、12の領域の中から、自分に合う学問を教えてくれる診断ツール『YourSchola』と、膨大な学問分野の関係性を解き明かす分野相関図『ScholaScope』を開発した。
(30年6月15日号)

山口大「AIシステム医学・医療研究教育センター」発足

 山口大学(岡正朗学長)は、医学系研究科・医学部附属病院に「AIシステム医学・医療研究教育センター(AISMEC)」を発足したと5月29日発表した。AI・機械学習とシステムバイオロジーを融合し、基礎医学研究力の強化、医療技術の向上、将来の情報系医師の人材育成を目指すという。センター長は浅井義之教授が務める。顧問には北野宏明氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長/所長)を迎えた。浅井センター長は「次世代のデータサイエンス医師を世界に羽ばたかせていきたいと考えています」と述べた。
 同センターはコア技術を人工知能(AI)・機械学習およびシステムバイオロジーの2つとし、これらを医学・医療応用することで、それぞれを医用AI、システム医学として確立し、展開していくという。
(30年6月15日号)

表面プラズモン共鳴示す半球ヤヌス粒子作製

東京理科大学理学部の徳永英司教授研究室チームと積水化成品工業の研究グループは、世界で初めて半球ポリマー微粒子の赤道面のみに金属製膜した「ヤヌス粒子」を作製し、その特異な光・電場・磁場応答を明らかにすることに成功した。
(30年6月15日号)

健康・医療戦略等の今後の取組方針決定

 健康・医療戦略推進本部は、健康・医療戦略と研究開発推進計画の実行状況と今年度の取組方針、来年度予算の資源配分方針を決定した。
 健康・医療戦略については、2018年度の主な取組方針として、新たな血中バイオマーカーを利用した認知症の診断法開発を開始すると共に、バイオ医薬品の連続生産技術について、品質管理技術と合わせた開発を始める。10月をめどに医療研究開発革新基盤創生事業(CiCLE)300億円分の採択課題を決定し、AMEDで伴走支援・課題管理を密に行い、産学官連携による医療研究開発を推進する。
(30年6月8日号)

Y-00光通信量子暗号 実証実験成功

 玉川大学量子情報科学研究所の谷澤健准教授、二見史生教授は、Y-00光通信量子暗号のための光の変調(電気-光変換)方法を考案、電気デジタル・アナログ変換デバイスの限界を打破する極めて多くの光強度を持つ暗号を発生させる実証実験に成功した。
(30年6月8日号)

蛍光色素付き発光基質類開発 生物発光の多色化実現

 産業技術総合研究所環境管理研究部門の金誠培主任研究員、慶應義塾大学理工学部応用化学科の鈴木孝治名誉教授、チッテリオ・ダニエル教授、西原諒大学院生の研究グループは、共同で蛍光色素付き発光基質類を開発、生物発光の多色化を実現することに成功した。
(30年6月8日号)

テルル化鉛熱電変換材料の新形成法確立

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)の3者は、テルル化鉛(PbTe)熱電変換材料にゲルマニウム(Ge)を添加した新ナノ構造形成法を確立し、従来材料に比べ約2倍の熱電変換性能を実現した。この新技術は、自動車や工場など幅広い分野の排熱活用などへ応用され、未利用熱エネルギーの一層の電力活用が進むことで、省エネルギーと二酸化炭素(CO2)排出削減にもつながると期待される。NEDOでは今後、形成したナノ構造を高度化させ、さらに電気をよく流し、一方で熱を流さない熱電変換材料を開発して、一層の高効率化を目指す。
(30年6月8日号)