無線通信混在による不安定化の実態解明

 情報通信研究機構(NICT)と、オムロンなどの8社は、製造現場でIoT化を推進するため、業界の垣根を越えて、複数の稼働中の工場で無線通信技術の基礎評価と検証を進めているが、無線環境の通信安定化に向けてFlexible Factory Projectを立ち上げ、複数の工場で検証して、多様な無線システムを協調制御して安定化するための無線通信ソフトウェア構成を提案するなど、成果を明らかにした。
(平成29年2月3日号)

宇宙天気予報の精度大幅向上

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、電磁波研究所および先進的音声翻訳研究開発推進センターにおいて、機械学習とビッグデータを用いた予測モデルを開発し、宇宙天気予報の精度を大幅に向上させることに成功した。
 従来の人手による方法では5割程度の予測精度しか得られなかったが、新しい予測モデルでは8割超という世界トップクラスの予測精度まで向上した。従来よりも早い予報が可能になるため、宇宙天気の影響による災害への早期対策などに有用だとしている。同成果は、米国の専門誌「The Astrophysical Journal」に、1月25日に掲載された。
(平成29年2月3日号)

完新世中期に宇宙線急増

 名古屋大学高等研究院宇宙地球環境研究所の三宅芙沙特任助教、増田公明准教授、中村俊夫名誉教授の研究グループは、米アリゾナ大学、スイス連邦工科大学チューリッヒ校との共同研究により、紀元前5480年頃の地球上で、放射性炭素(炭素14)濃度が急増していることを発見した。
 樹木に含まれる炭素14を用いれば、過去の太陽活動や宇宙線変動を調査できるが、完新世(約1万年前から現在)においては、10年分解能以下の細かい変動についてはほとんど調査されていなかった。
(平成29年2月3日号)

パワーデバイス内部の電界を定量計測

 東京工業大学の岩崎孝之助教、波多野睦子教授、産業技術総合研究所先進パワーエレクトロニクス研究センターの牧野俊晴研究チーム長らのグループは、ダイヤモンドパワーデバイス内部に原子レベルの構造である窒素-空孔(NV)センターを形成し、高電圧動作中のパワーデバイス内部の電界強度を定量的にナノメートルスケールで計測することに世界で初めて成功した。ワイドバンドギャップ半導体による省エネパワーデバイス開発の促進が期待される。米国化学会のACS Nanoで1月23日オンライン公開された。
(平成29年2月3日号)

NKT細胞に定説と異なる分化経路

理研統合生命医科学センター免疫制御戦略研究グループのダシツォードル・ニャムバヤル研究員、谷口克グループディレクターらの研究グループは、マウスを用いて、生体防御に不可欠なナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)の新しい分化経路を発見した。Nature Immunologyオンライン版に30日掲載された。
(平成29年2月3日号)

阪大が高等共創研究院創設

大阪大学は、45歳までの有能な若手研究者を、民間資金を活用して10年間の任期で助教や准教授として採用する高等共創研究院を創設する。10人を10年間支援するだけの大規模な寄付金を一般社団法人阪大微生物病研究会(BIKEN)から受け入れたことで実現した。4~5月採用の第1段公募ではバイオサイエンス関連分野で3人程度を採用する予定。年内にも第2段公募を行う。西尾章治郎総長は「今後、産業界等からの理解を得て、まずは30人規模まで拡大していきたい」としている。
(平成29年2月3日号)

遺伝的体質に基づく新規脳梗塞発症リスク予測法開発

 岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)生体情報解析部門の清水厚志特命教授、八谷剛史特命准教授らの研究グループは国内の多数のコホート研究・バイオバンクと共同で、ゲノム情報に基づく脳梗塞の発症リスクを予測する新規手法を開発したと発表した。従来のゲノムワイド関連解析(GWAS)ではなく、全ての遺伝子多型をリスク評価に用いる手法を確立。同手法が脳梗塞の発症リスクを高めるとされる生活習慣病の罹患と独立して、3つの病型全てでリスクを予測できることを確かめた。他の疾患にも応用可能で、個別改良に繋がると期待される。成果は米国心臓協会が発行する脳卒中学術誌「Stroke」オンライン版で12月29日発表された。
(平成29年2月3日号)

オートファジーが神経突起構造崩壊を促進する仕組み解明

 神経細胞においては、基底レベルで常時機能するオートファジーが変性タンパクの蓄積を防ぎ、細胞の健全性を維持しているとされている。一方、多くの細胞でオートファジー誘導刺激となる栄養飢餓は、神経細胞でのオートファジー誘導にはあまり有効でなく、神経細胞におけるオートファジー誘導機序や誘導性オートファジーの意義は不明確であった。国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第五部の若月修二室長、荒木敏之部長らの研究グループは、神経傷害後や一部の神経疾患において神経の突起構造が壊れていく際に、オートファジーが神経を積極的に壊す方向に寄与していることを示し、その構造崩壊促進機構を初めて明らかにすることに成功した。
(平成29年2月3日号)