「電子状態を直接観測」分子軌道分布の可視化法開発

 名古屋大学大学院工学系研究科の鬼頭俊介大学院生、澤博教授、高輝度光科学研究センターの杉本邦久博士らの研究グループは、大型放射光施設SPring-8におけるX線回折実験により分子性結晶の分子軌道分布を可視化して定量分析する方法を確立。分子科学研究所、東京工業大学の研究グループとともに40年間解けなかった擬一次元性分子性結晶中の、実空間における電子状態の直接観測に成功した。

 分子性結晶では、分子間の相互作用や電子相関などのエネルギーが拮抗し、さらにそのしなやかさによって、多彩な電子物性を示すが、物質の性質(物性)を正しく理解するためには、その系でどのような相互作用が協力・競合しているかを明らかにする必要があり、そのためには精密な結晶構造と電子分布状態の情報が不可欠となっている。
(29年8月25日号)