CRESTなどの研究領域・総括を決定

 JSTは、文部科学省が設定した平成30年度戦略目標を受け、戦略的創造研究推進事業『CREST』および『さきがけ』において、新たな8つの研究領域を設定し、その研究総括を決定した。
 設定された研究領域および研究総括は次の通り。
【CREST】
 ◇トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出(上田正仁・東京大学大学院理学系研究科教授)
 ◇新たな生産プロセス構築のための電子やイオン等の能動的制御による革新的反応技術の創出(吉田潤一・鈴鹿工業高等専門学校校長)
 ◇Society5・0を支える革新的コンピューティング技術(坂井修一・東京大学大学院情報理工学系研究科教授)
【さきがけ】
◇トポロジカル材料科学と革新的機能創出(村上修一・東京工業大学理学院教授)
 ◇電子やイオン等の能動的制御と反応(関根泰・早稲田大学理工学術院教授)
 ◇革新的コンピューティング技術の開拓(井上弘士・九州大学大学院システム情報科学研究院教授)
【CREST・さきがけ複合領域】
 ◇ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出(塩見春彦・慶應義塾大学医学部教授)

第2期SIP プログラムディレクター決定

 2017年度補正予算で325億円が措置され、今年度から5年間、研究開発を行う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期のPD(プログラムディレクター)が決まった。12課題に対して15人が応募し、11人が選ばれた。「光・量子を活用したソサイエティ5・0実現化技術」については「ふさわしい人がいなかった」(事務局)という理由で再公募が現在実施されている。
 SIPは、内閣府が主導して府省連携で研究開発を進めることで、研究成果の社会実装を加速するプログラム。第1期の11課題は今年度末で終了予定だが、今回、補正予算で2期が前倒しで実施されることになったため、今年度は23課題が実施されることになる。また第2期SIPは、特定領域の民間投資を誘発するため、内閣府が各省庁の研究開発に予算を追加配分するPRISM(官民研究開発投資拡大プログラム)と一体的に運用するのも特徴だ。
 12課題のうち、3課題はSIPプロジェクトがPRISMの中核プロジェクトに位置づけられており、2課題についてはPRISMの領域総括がPDに就任した。「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」のPDには、安西祐一郎慶應義塾学事顧問・日本学術振興会顧問が、「フィジカル領域デジタルデータ処理基盤技術」には、佐相秀幸富士通研究所顧問が就任した。佐相氏は、第1期SIPのPDも兼任している。また「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」には、第1期の防災・減災プロジェクトのPDである堀宗郎東京大学地震研究所巨大地震津波災害予測研究センター長・教授が就任した。
 その他に継続してPDに選ばれたのは、後藤厚宏情報セキュリティ大学院大学学長「IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ」、葛巻清吾トヨタ自動車常務理事「自動運転・システムとサービスの実用化」、岸輝雄東京大学名誉教授「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」。また海洋プロジェクトでPD代行だった石井正一石油資源開発代表取締役副社長が「革新的深海資源調査技術」のPDに就任する。
 今回、新たにPDに就任したのは4人。小林憲明キリン取締役常務執行役員「スマートバイオ産業・農業基盤技術」、柏木孝夫東京工業大学先進エネルギー国際研究センター長「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」、中村祐輔シカゴ大学医学部内科・外科教授「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」、田中従雅ヤマトホールディングス執行役員IT戦略担当「スマート物流サービス」。
 各PDは今後、研究開発計画の作り込みを進め、7月には研究開発を始める予定。
(30年4月27日号)

「胎児の状態を正確に把握」国産の心拍計測装置

 東北大学とアトムメディカル(電話0800-111-6050)は、胎児の心拍を高精度に計測できる国産のモニタリング装置「アイリスモニタ」を共同開発し、今年7月から販売を開始する(薬事承認は2月に取得済み)。
(30年4月27日号)

「酸素感知システムを構成」根粒菌のタンパク質形状

 ダイズやエンドウなどのマメ科植物の根には根粒という器官ができる。この根粒を形成する根粒菌は、空気中の窒素N2を植物が利用しやすいアンモニアNH3に変換する重要な反応、窒素固定を担っている。この反応は酸素濃度が高い時には行うことができないため、根粒菌は酸素濃度を感知するタンパク質システムを持っている。兵庫県立大学大学院生命学研究科の澤井仁美助教を中心とする国際共同研究グループは、大型放射光施設SPring-8およびフランスの放射光施設SOLEILを利用し、この酸素感知システムを構成するタンパク質の形状を世界で初めて明らかにすることに成功した。
(30年4月27日号)

『はやぶさ2』が今夏、小惑星リュウグウに到着

JAXAの小惑星探査機『はやぶさ2』は、3・5年をかけていよいよC型小惑星リュウグウ(Ryugu)に到着する。6月21日~7月5日には高度20キロメートルの地点に到着し、本格的に観測を始める。リュウグウはどんなフォルムをしているのか、数少ない情報からジャガイモのような形をしているとされているが、実はまだよく分かっていない。
(30年4月27日号)

過去20年の海流変動がシラスウナギの数減らす

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)アプリケーションラボのYu-Lin Chang研究員、宮澤泰正ラボ所長代理は、日本大学と共同で、海流予測モデル『JCOPE2』によって計算した過去の海流推定結果である海洋再解析データを用いて、過去20年(1993年~2013年)にわたる海流変動は、日本付近に回遊してくるシラスウナギの数を減らすように働いていたことを突きとめることに成功した。
(30年4月27日号)

重いハイパー核の精密構造 「世界初」国際チームが解明

東北大、高エネルギー加速器研究機構、ソウル国立大学等からなる国際共同研究グループは、J-PARCハドロン施設で、陽子9個、中性子9個、ラムダ粒子1個からなるフッ素19ラムダハイパー核が放出するガンマ線の測定に成功。重いハイパー核の精密構造を世界で初めて明らかにした。
 陽子、中性子とともにラムダ粒子(素粒子物理学におけてバリオンに分類されるハドロンの一種)を含む原子核「ハイパー核」を人工的に作って調べることで、なぜ陽子や中性子から原子核ができ物質ができるのかという問いに答えることができる。特にラムダ粒子は、実験室では短寿命で壊れるが、超高密度の天体である中性子星の中では安定に存在している可能性があるだけに、「ミニ中性子星」というべきハイパー核の研究が進めば、謎に包まれた中性子星内部の解明にもつながる。
(30年4月20日号)

バナジウムの異常な混合原子価が絶縁体転移導く

 東京理科大学理学研究科の高柳真大学院生、並木航大学院生、樋口透准教授、物質・材料研究機構の土屋敬志主任研究員、上田茂典主任研究員、寺部一弥MANA主任研究者、高エネルギー加速器研究機構の蓑原誠人特任助教、堀場弘司准教授、組頭広志教授らの研究グループは、絶縁体転移の限界とされてきた10倍以上の膜厚において、Ca1-xSrxVO3(CSVO)薄膜を金属から絶縁体へ転移させることに成功した。
(30年4月20日号)