触媒活性指標の回転数190万回実現

 東京工業大学物質理工学院の本倉健講師、前田恭吾大学院生らの研究グループは、オレフィンのヒドロシリル化反応に極めて高活性を示す固定化ロジウム触媒を開発。活性・安定性の指標となる触媒回転数(触媒1分子が目的とする反応を進行させた回数)がこれまでより1桁大きい190万回に達することを発見した。
 ヒドロシリル化反応とは、ケイ素に直接水素が結合した化合物(ヒドロシラン)を他の分子へ付加させる反応のこと。その生成物である有機ケイ素化合物は、シリコーン製造工業で用いられる重要な化合物である。
(29年7月7日号)

大気圧下での電極触媒挙動観測法開発

分子科学研究所は、NEDO事業において、硬X線による大気圧下での光電子分光測定方法の開発に世界で初めて成功した。燃料電池性能を大きく左右する電極触媒について、これまでは実際に電池が作動する大気圧下での挙動観測は不可能であったが、今回開発した測定方法はそれを可能にした。
 今後、この測定方法を活用することで、触媒の反応や劣化メカニズムの高精細な観測が可能となり、その知見を触媒開発にフィードバックすることで、燃料電池の高機能化につながると期待される。
(29年7月7日号)

日本列島の地殻変動の原因はフィリピン海プレートの運動だった 

 産業技術総合研究所地質情報研究部門の高橋雅紀研究主幹は、アナログ模型を併用した思考実験に基づいて、第四紀の日本列島の東西短縮地殻変動の原因が、これまで考えられていた太平洋プレートの運動ではなくフィリピン海プレートの運動であることを明らかにした。日本列島を取り巻くプレートの運動と地殻変動が論理的に結びついたことで、過去のプレート運動と過去の地殻変動の因果関係だけでなく、将来の地殻変動についても、地質学的なシナリオを描くことが可能になる。地質調査研究報告にオンライン掲載された。
(29年7月7日号)

小笠原諸島の火山列島で魚類調査実施 未記載種や日本初記録種

国立科学博物館の栗岩薫非常勤研究員らは鹿児島大学と共同で、小笠原諸島の火山列島で魚類調査を実施、未記載種や日本初記録種を発見した。
 調査は6月5~10日に行われ、小笠原群島より南に200キロメートルほど離れた火山列島(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島)の沿岸で浅海性魚類を採集した。火山列島での調査は、北硫黄島では49年振り、硫黄島では23年振り、南硫黄島では10年振りとなる。
 9・7トンの漁船1艘、総勢7人で調査を行い、南硫黄島では上陸して波打ち際での調査も実施した。南硫黄島は形成以来ほとんど人為的な影響を受けていない原生自然環境保全地域を持ち、北硫黄島は終戦以来無人島となっていることから、独自の生態系を維持している。
 今回の調査では、未記載種(トビササウシノシタ属)、日本初記録種(クレナイトゲメギス属)を含む、約140種、300個体の魚類を採集した。今後は、分類学的な同定を行い、種の多様性を明らかにする。一部はゲノム解析を行う。
 これまでの調査は目視記録、水中写真による記録で、ほとんど標本は残っていなかった。今回取得した魚類は、魚類学術標本として、同館等に登録され、世界中の研究者が利用できるようにする予定だ。
(29年7月7日号)

「自然科学研究50件に総額3億円」三菱財団が助成

 三菱財団は、平成29年度三菱財団助成金の贈呈先を決定した。自然科学研究助成対象50件に総額3億円を助成する。
 大規模な細胞産生を支える組織内物流:力学的共生による経済性(名古屋大学大学院・宮田卓樹教授)、新高温超伝導体を応用したフロンティア磁場空間の開拓(東京農工大学大学院・山本明保特任准教授)、形態パターンに”ゆらぎ”を与える要因に迫る進化発生学的アプローチ(東京工業大学生命理工学院・田中幹子准教授)、ハダカデバネズミにおける抗腫瘍免疫活性に関する研究(北海道大学・清野研一郎教授)、福島第一原発由来高濃度放射性セシウム含有微粒子の寄与率とその毒性に関する研究(九州大学大学院・宇都宮聡准教授)、共鳴電子エネルギー損失分光法による素励起の選択的観測法の開発(大阪大学大学院・木村真一教授)、テトラヒメナのde novoヘテロクロマチン構築機構の解明(基礎生物学研究所・片岡研介助教)、大歪変形実験限界圧力の1桁向上による地球中心核ダイナミクス解明への挑戦(愛媛大学・野村龍一助教)など。
(29年6月30日号)

「ガン専門人材養成」文科省が大学間連携11事業選定

文部科学省は、多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プランについて、11件の事業を選定した。この事業(今年度予算額15億円)では、大学間の連携による「がん医療人材養成拠点」において、各大学の特色を生かした教育プログラムを構築し、ガン医療の新たなニーズに対応できる優れた「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」を養成する取組を選定し、支援する。
(29年6月30日号)

「理工系を進路候補に」女子中高生に仕事体感の場

 内閣府、文科省、経団連は「夏のリコチャレ2017~理工系のお仕事体感しよう!」を7・8月に開催する。対象は女子中高生など。
 理工系に興味のある女子高生・女子学生が、将来をしっかりイメージして進路選択することを応援するもの。15年から行っている。主に女子中高生を対象に、理工系の職場見学や仕事体験、施設見学、女性研究者や技術者との交流会などを実施している。今回は、大学や企業など72団体が93イベントを開催。
 7月26日には中日本高速道路による「NEXCO中日本初!女子学生向け高速道路現場見学会」を神奈川県川崎市で行う。7月29日・8月6日には福岡工業大学による「福工大&福工大短大のすべてがわかる!」を福岡県福岡市で開催する。8月2~4日には筑波大学による「夏季リケジョサイエンス合宿」を茨城県つくば市で行う。8月2・8日には郡山市による「目指せ!理工系女子バスツアー」を福島県郡山市で開催する。8月3日には島津製作所による「島津に来て!見て!理工系のお仕事体感しよう!」を京都府京都市で行う。8月4・5日には大阪府立大学による「めざせ!理系女子コーナー 先輩と話そう」を大阪府堺市で開催する。8月23日には旭化成による「リケジョのシゴト知ろう、触れよう」を静岡県静岡市で行う。
 イベント等の詳細は、Web(http://www.gender.go.jp/c-challenge/)まで。
 5月に行われた女子中高生を対象にしたアンケートでは、文理選択の決め手は将来やりたい仕事や興味・関心という回答が6割を超えたが、理系女性が少ない理由として、「女性が数学が苦手という固定概念が強い」「まだ女子は文系、男子は理系という先入観がある」という意見があった。そこで今回のような、理工系の職業や面白さに触れ、固定的な先入観を払拭する機会が求められている。
(29年6月30日号)

 東京理科大学、神戸大学、パシッフィックコンサルタンツ(株)、三菱電機(株)、三菱電機エンジニアリング(株)、(株)ニュージェック、(株)ビィーシステム、四葉システム開発(株)㈱は、共同で高感度CCTVカメラによる河川の撮影技術と、画像解析技術、水理解析技術を融合した河川水位・流量のリアルタイムモニタリングシステムの開発に成功した。
(29年6月30日号)