日本とアジアの青少年交流課題147件決定

 科学技術振興機構(JST)は、さくらサイエンスプラン(日本・アジア青少年サイエンス交流事業)の平成30年度・第1回審査で147件の交流計画を選定した。
 産学官で、優秀なアジア地域の青少年が日本を短期に訪問し、未来を担うアジア地域と日本の青少年が科学技術分野で交流を深めることを目指す。アジアの青少年が最先端の科学技術へ関心を高め、日本の大学・研究機関や企業が必要とする優秀な人材の育成に貢献する。
 今回は、147件(うち7件が複数年度計画)が選定された。この計画の受け入れ機関は、大学・高等専門学校・高校が67校、財団法人・研究開発法人など13機関、企業1社、自治体2機関。招へい対象者総数は1617人。
 武田計測先端知財団はキルギスから大学生などを受け入れる。茨城大学はタイやベトナムなどから大学院生などを受け入れる(量子線分子科学)。大阪大学はインドネシアなどから大学生を受け入れる(基礎・応用自然科学、材料・電気・電子工学を中心とした領域横断科学技術など)。堀場製作所はフィリピンなどから研究者などを受け入れる(計測機器・システムを用いた環境汚染解決)。栃木県小山市は台湾等の高校生を受け入れる(環境保全と科学技術)。情報・システム研究機構国立情報学研究所は中国などから大学生や大学院生を受け入れる(情報学)。
(30年5月18日号)

第2期SIP プログラムディレクター決定

 2017年度補正予算で325億円が措置され、今年度から5年間、研究開発を行う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期のPD(プログラムディレクター)が決まった。12課題に対して15人が応募し、11人が選ばれた。「光・量子を活用したソサイエティ5・0実現化技術」については「ふさわしい人がいなかった」(事務局)という理由で再公募が現在実施されている。
 SIPは、内閣府が主導して府省連携で研究開発を進めることで、研究成果の社会実装を加速するプログラム。第1期の11課題は今年度末で終了予定だが、今回、補正予算で2期が前倒しで実施されることになったため、今年度は23課題が実施されることになる。また第2期SIPは、特定領域の民間投資を誘発するため、内閣府が各省庁の研究開発に予算を追加配分するPRISM(官民研究開発投資拡大プログラム)と一体的に運用するのも特徴だ。
 12課題のうち、3課題はSIPプロジェクトがPRISMの中核プロジェクトに位置づけられており、2課題についてはPRISMの領域総括がPDに就任した。「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」のPDには、安西祐一郎慶應義塾学事顧問・日本学術振興会顧問が、「フィジカル領域デジタルデータ処理基盤技術」には、佐相秀幸富士通研究所顧問が就任した。佐相氏は、第1期SIPのPDも兼任している。また「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」には、第1期の防災・減災プロジェクトのPDである堀宗郎東京大学地震研究所巨大地震津波災害予測研究センター長・教授が就任した。
 その他に継続してPDに選ばれたのは、後藤厚宏情報セキュリティ大学院大学学長「IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ」、葛巻清吾トヨタ自動車常務理事「自動運転・システムとサービスの実用化」、岸輝雄東京大学名誉教授「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」。また海洋プロジェクトでPD代行だった石井正一石油資源開発代表取締役副社長が「革新的深海資源調査技術」のPDに就任する。
 今回、新たにPDに就任したのは4人。小林憲明キリン取締役常務執行役員「スマートバイオ産業・農業基盤技術」、柏木孝夫東京工業大学先進エネルギー国際研究センター長「脱炭素社会実現のためのエネルギーシステム」、中村祐輔シカゴ大学医学部内科・外科教授「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」、田中従雅ヤマトホールディングス執行役員IT戦略担当「スマート物流サービス」。
 各PDは今後、研究開発計画の作り込みを進め、7月には研究開発を始める予定。
(30年4月27日号)

CRESTなどの研究領域・総括を決定

 JSTは、文部科学省が設定した平成30年度戦略目標を受け、戦略的創造研究推進事業『CREST』および『さきがけ』において、新たな8つの研究領域を設定し、その研究総括を決定した。
 設定された研究領域および研究総括は次の通り。
【CREST】
 ◇トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出(上田正仁・東京大学大学院理学系研究科教授)
 ◇新たな生産プロセス構築のための電子やイオン等の能動的制御による革新的反応技術の創出(吉田潤一・鈴鹿工業高等専門学校校長)
 ◇Society5・0を支える革新的コンピューティング技術(坂井修一・東京大学大学院情報理工学系研究科教授)
【さきがけ】
◇トポロジカル材料科学と革新的機能創出(村上修一・東京工業大学理学院教授)
 ◇電子やイオン等の能動的制御と反応(関根泰・早稲田大学理工学術院教授)
 ◇革新的コンピューティング技術の開拓(井上弘士・九州大学大学院システム情報科学研究院教授)
【CREST・さきがけ複合領域】
 ◇ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出(塩見春彦・慶應義塾大学医学部教授)

大学の研究環境さらに悪化

 政府がイノベーション創出に向けて様々な取り組みを進める一方、大学の研究環境はさらに悪化し、イノベーションの源泉となる独創的な基礎研究は生まれにくくなっている。科学技術・学術政策研究所が公表した科学技術の状況に係る総合的意識調査(定点調査2017)で、研究現場の厳しい状況が明らかになった。

「定点調査2017」科学技術・学術政策研が公表

 定点調査は、科学技術基本計画の期間中、産学官の一線級の研究者や有識者へ継続的にアンケート調査を行うことで、科学技術やイノベーションの状況の変化を定点観測するもの。大学・公的研究機関グループ約2100人、産業界やファンディングエージェンシーなどのイノベーショングループ約700人が対象。回収率は92・3%。

新技術開発財団が市村清新技術財団に改称

 新技術開発財団は4月1日から、財団名を市村清新技術財団に改称する。財団創設者の市村清氏(リコー三愛グループ創始者)の名を冠した。
 同財団は今年12月に創立50周年を迎える。同財団では産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をした人を顕彰する市村賞や、独創的な新技術の実用化を目指した研究が対象の新技術開発助成などを行っている。今年から新たに環境に関する顕彰、助成事業を立ち上げる(10月から募集開始)。
(30年4月6日号)

国立大学運営費交付金の重点支援評価結果を公表

文部科学省は2018年度国立大学運営費交付金の重点支援の評価結果を公表した。各大学の機能強化に向けた取り組みを支援するため、各大学の運営費交付金から、機能強化促進計数に基づく金額を拠出し、それを戦略毎の評価結果に基づいて再配分するもの。全国86大学を、地域貢献型55大学、特定分野型15大学、世界水準型16大学に分類し、それぞれの類型の中で再配分を行うのが特徴だ。
(30年4月6日号)

科学の甲子園全国大会 栄光学園高優勝

 第7回科学の甲子園全国大会は神奈川県代表の栄光学園高校の優勝で3月19日幕を閉じた。第2位は広島県代表の広島学院高校、第3位は東京都代表の筑波大学附属駒場高校だった。同大会は科学技術振興機構(JST:濵口道成理事長)により3月16日-19日、埼玉県さいたま市のソニックシティ、さいたま市記念総合体育館で開催された。
 大会には都道府県の予選を勝ち抜いた47校の高校代表チーム(361人)が参加し、筆記競技1題、実技競技3題に挑戦し、これら合計得点で順位は決定された。優勝校には、あわせて文部科学大臣賞とCIEE/TOEFL賞、第2位には科学技術振興機構理事長賞とUL Japan賞、第3位には埼玉県知事賞と埼玉りそな銀行賞も贈られた。第4位の茨城県立並木中等教育学校にはさいたま市長賞と武蔵野銀行賞が、第5位の和歌山県代表・智辯学園和歌山高校には日本理科教育振興協会賞があわせて贈られた。
 次回の第8回科学の甲子園全国大会は、平成30年度に引き続き埼玉県で開催が予定されている。
(30年3月30日号)

日本の研究力低下に歯止め」OIST学長が提言

 日本の研究力が国際的に低下している中、その解決策はあるのか? ピーター・グルース沖縄科学技術大学院大学(OIST)学長は3月22日、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員会合で、流動性の向上、ネットワークの強化、イノベーション支援強化、産業界との連携強化という4つの処方箋を提示した。マックス・プランク協会の会長を12年務めたグルース氏が、OIST学長に就任して1年、日本を中から見てきた結果としての提言を日本政府がどのように受け止めるのか、今後の展開が注目される。
(30年3月30日号)