何を見たかの判断は視覚情報に依存しない

 情報通信研究機構(NICT)は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)およびウェスタンユニバーシティと共同して「どのようなものを見ているのか」という知覚判断が、見た内容だけでなく、見た内容に伴う運動行為にかかる負荷を反映していることを実験的に証明した。これまで、外部から脳への入力処理である知覚判断と、脳から外部への出力処理である運動行為はそれぞれ独立したもので、運動行為は単に知覚判断の結果を反映するだけと考えられていたが、NICT脳情報通信融合研究センター(CiNet)の羽倉信宏研究員らのチームは、そうした定説を覆す成果を得た。同成果は、神経科学の国際科学誌「eLife」オンライン版(2月21日)に掲載された。
(29年3月10日号)

ジルコニウム「魔法数持たず楕円形」

 魔法数を持つと思われていたジルコニウム110だが、魔法数は持たず、その形もレモンのような楕円形であることが明らかになった。理研仁科加速器研究センター櫻井RI物理研究室のピーター・ドーネンバル研究員、櫻井博儀主任研究員らの国際共同研究グループが、RIビームファクトリー(RIBF)を用いて明らかにした。Physical Review Lettersオンライン版に18日掲載された。
(29年3月3日号)

植物が栄養だけを取り込む仕組み解明

 東京大学大学院農学生命科学研究科の李保海研究員、神谷岳洋准教授、藤原徹教授らの研究グループは、植物の根の栄養吸収に重要な役割を果たしている特殊な構造(カスパリー線)を形成する新規遺伝子LOTR1(LORD OF THE RING 1)を同定し、その解析の過程で、スベリンと呼ばれる脂質の一種が物質輸送における障壁として機能していることを発見した。今回、植物の根がその成長に応じて物質輸送の障壁を柔軟に形成し、栄養吸収を効率良く行う仕組みの一端を明らかにしたことで、効率的な栄養吸収を行う作物の作出に寄与するものと期待される。Current Biologyに24日掲載された。
(29年3月3日号)

「放射線ストレスに反応して形成」核内構造体を発見

 東京理科大学理工学部応用生物科学科の松永幸大教授、平川健大学院生らの研究グループは、植物のDNA修復開始時に、細胞核内で形成される構造体「RAD54フォーサイ」を発見することに成功した。
 放射線照射や化学物質暴露は、DNA損傷を引き起こすため、生物は速やかに、DNA修復を開始するが、修復開始時に、細胞核内で修復タンパク質がどのような挙動を示すのかはよくわかっていなかった。松永教授によると、これまでにシロイヌナズナを用い、DNA損傷の一種であるDNA二本鎖切断により、細胞核内のクロマチン動態が構造変化に伴い変化することを明らかにし、この動態変化には、クロマチンリモデリング因子RAD54が関与していることを示してきたという。
(29年3月3日号)

iPS細胞で血液脳関門モデル作製

 京大iPS細胞研究所(CiRA)は、ヒトiPS細胞から、血液脳関門モデルを作製、体内の血液脳関門と同じバリア機能を持つことを確認した。ステム・セル・リポーツに掲載された。(29年3月3日号)

高温下で使用可能なファイバーレス高強度高断熱性材料開発

 美濃窯業(株)は、産業技術総合研究所と共同で、熱伝導率0・25W/m・K以下で圧縮強度10MPa以上の特性を持つ、1450度Cまで使用可能なファイバーレス高強度高断熱性材料の開発に成功した。
 今回の成果は、2015年度から実施しているNEDOプロジェクト「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」の中で達成されたもので、美濃窯業は未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)の組合員である。
(29年3月3日号)

トポロジカル絶縁体積層薄膜で新しい量子状態実現

理化学研究所創発物性科学研究センター強相関物性研究グループの茂木将孝研修生、十倉好紀グループディレクター、理研強相関界面研究グループの川崎雅司グループディレクター、理研強相関量子伝導研究チームの川村稔専任研究員、東北大学金属材料研究所の塚崎敦教授、産業技術総合研究所の白川直樹研究チーム長らの共同研究グループは、磁性層と非磁性層を交互に積み重ねたトポロジカル絶縁体積層薄膜を作製することで、特殊な”電気磁気効果”の発現が期待される新しい量子状態の実現に成功した。
(29年3月3日号)

地球形成初期に磁場存在か

東工大地球生命研究所の廣瀬敬教授らの研究グループは、地球コアの超高温高圧環境を模擬した実験から、誕生まもない地球表層を覆っていたマグマオーシャンの成分(ケイ素、酸素)が金属(鉄)と反応し、二酸化ケイ素が結晶化していくことで対流が起き、磁場を作り出す、つまり地球はできたての時から磁場が存在していた可能性を示した。3月2日付のネイチャーに掲載された。
(29年3月3日号)