「マウス体内時計 胎児期に形成」京都府立医大が解明

 京都府立医科大学大学院医学研究科統合生理学の八木田和弘教授、梅村康弘助教、小池宣也講師らの研究グループは、体内時計が胎児期形成される仕組みの解明に成功した。
 体内時計は全身の細胞に備わる普遍的な細胞生理機能の一つ。研究グループでは、これまでに、マウスES細胞の分化誘導培養系を用い、体内時計は細胞分化に伴って形成されることを明らかにしてきたが、生体における体内時計の発生制御の実態および意義は不明だった。
(29年9月15日号)

「世界初」白色中性子線ホログラフィー実用化成功

 名古屋工業大学大学院工学研究科の林好一教授、茨城大学大学院理工学研究科の大山研司教授は、広島市立大学、高輝度光科学研究センター、熊本大学、日本原子力研究開発機構、J-PARCセンター、高エネルギー加速器研究機構、東北大学金属材料研究所と共同で、「白色中性子線ホログラフィー」の実用化に世界で初めて成功した。
(29年9月15日号)

DNA修復酵素が作用 神経細胞生存や回路形成担う

大阪大学大学院生命機能研究科細胞分子神経生物学研究室の大西公平特任研究員、菅生紀之助教の研究グループは、同研究科心生物学研究室と共同で、DNA修復酵素の一つ、Polβ(DNAポリメラーゼβ)が神経細胞産生時の神経前駆細胞におけるDNA合成期に作用し、神経細胞の生存や突起伸長(回路形成)を担うことを明らかにすることに成功した。
(29年9月15日号)

タフなヘビ型ロボット

内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導するImPACT(革新的研究開発推進プログラム)では、プラント設備の配管内の日常点検や緊急時の点検を行う、タフなヘビ型ロボットを開発した。開発したロボットは、これまでの配管内ロボットでは難しかった、複雑な配管内を走破し、配管内の状況をロボット操作を行うオペレータへ正確に提供することに成功した。

 これは、ImPACTのタフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラムマネージャー:田所諭・東北大学大学院情報科学研究科教授)における研究開発課題「タフな索状ロボットおよび極限ヒューマンインタフェースのための極限制御システムの開発」の成果。京都大学大学院工学研究科の松野文俊教授、早稲田大学理工学術院創造理工学研究科の奥乃博教授、岡山大学大学院自然科学研究科の亀川哲志講師、金沢大学理工研究域機械工学系の鈴木陽介助教らの研究チームが開発した成果。
(29年9月8日号)

有機結晶中の伝導電荷 多彩な振動を「重ね着」

 分子科学研究所、千葉大学を中心とする研究グループは、高輝度シンクロトロン放射光施設UVSORを利用した世界最高水準のエネルギーと波数分解能を持つ角度分解紫外光電子分光実験を実施。有機半導体の電荷(電子・ホール)が結晶に広がる集団的な格子振動と、局所的な分子振動から受ける多重の量子効果を初めて観測することに成功した。
 有機分子の特徴を利用し、これまでの材料では実現できなかった次世代モノづくりが始まっている。とは言っても、特に有機半導体は、70年ほど前に発見されて以来、研究が続けられてきているが、実験的な難しさから、電気伝導特性の本質はまだ完全に理解されていない。
(29年9月8日号)

100kW規模の海流発電の実証試験を完了

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と㈱IHIは、今夏8月に鹿児島県口之島沖で、100kW規模の海流発電としては世界初となる、水中浮遊式海流発電システムの実証試験を完了した。NEDOは新しい再生可能エネルギー源として期待しており、特に離島などでの実用化を目指している。IHIは、今回の実証試験により得られたデータを今後の研究開発に活用し、海流エネルギーを有効かつ経済的に利用する水中浮遊式海流発電システムについて、2020年以降の実用化を目指す。
(29年9月8日号)

ビタミン関連物質の溶解メカニズム解明

 理化学研究所産業連携本部イノベーション推進センター中村特別研究室の中村振一郎特別招聘研究員、三菱ガス化学の池本一人主席研究員、立教大学の松下信之教授らの共同研究グループは、ビタミンに深く関連する物質「ピロロキノリンキノン二ナトリウム(Na2PQQ)」の結晶の特徴的な溶解メカニズムの解明に成功した。
 栄養学的な知見からビタミンの候補として考えられてきたピロロキノリンキノン(PQQ)は1979年に発見され、2003年には理研の研究チームが新しいビタミンとして機能していることを解明し注目を集めた。その後、Na2PQQがサプリメントとして商品化されたが、体内でどう溶解するのか、その詳細さことは分かっていなかった。しかも、産業界の苦難を如実に反映したできごとがあった。中村特別招聘研究員によると「三菱ガス化学がPQQジナトリウムというサプリメント原料の販売をしていますが、『胃の中に入れば同じ』とばかりに粗悪品が出現し、その対応に苦慮していました」という。
(29年9月8日号)

幻の流星群を観測

 総合研究大学院大学の藤原康德さん(大学院生)、国立極地研究所の中村卓司教授、かわさき宙と緑の科学館の佐藤幹哉さん、国立天文台の渡部潤一教授らの研究グループは、2014年に再出現した幻の流星群を観測し、その親天体の活動度などを明らかにした。
 観測対象にしたのは、1956年に第1次南極地域観測隊がインド洋上で発見した流星群『ほうおう座流星群』。この観測以降、同流星群は、ほとんど出現していないため幻と呼ばれていた。
 太陽を回るのは地球などの惑星以外に、小惑星や太陽に近づくと自らの物質を放出して広がる彗星がある。当初は彗星としてダストやガスを放出していたものが小惑星になることもある。彗星は太陽から遠くなると観測できなくなる。
 流星群は、親天体(ほぼ彗星)から放出された流星体の帯(ダスト・トレイル)が、地球の大気に突入することで観測される。流星体は、親天体とほぼ同じ軌道で運動し、ゆっくりと親天体から離れ、ダスト・トレイルとなる。近年、このダスト・トレイル理論が高度化し、その流星体が親天体から、いつ、どのような速度、方向に放出されたか等がシミュレーションできるようになった。その結果、流星群の出現状況を再現し、正確に予報できるようになった。
(29年9月8日号)