アンモニアを直接燃料に 工業炉由来CO2削減手法

大陽日酸、日新製鋼、大阪大学大学院の赤松史光教授らの研究グループは、自動車や家電、建材等で利用される鋼板(原料鋼板)の防錆力を向上させる過程(溶融亜鉛めっき鋼板製造)で、水素キャリアであるアンモニアを燃料に利用する手法を開発した。内閣府・SIP(戦略的イノベーション創造プログラム・エネルギーキャリア)の一環。
(29年7月7日号)

アスタチン211投与1回でマウスガン消失

 胃ガンは、日本国内でも世界的に見ても死亡原因の上位となっている。日本に限れば、早期胃ガンの場合は、5年相対生存率は96%と高く完全寛解が見込まれるケースが多いが、転移がある場合には相対生存率は5・1%まで激減してしまう。特に胃ガンが腹膜に散らばるように転移した腹膜播種の場合は、平均生存4カ月と効果的な治療法が存在しない。
 そうした中、放射線医学総合研究所の長谷川淳崇チームリーダー、李惠子日本学術振興会特別研究員、長津弘太郎主幹研究員らは、α線を放出する標的アイソトープ治療薬を開発し、1回の投与でマウスのガンを消失させることに成功した。α線は、細胞数個分の距離しか飛ばないが、エネルギー量が大きいため、標的となるガン細胞を効率よく死滅させることができる。
(29年7月7日号)

電子の自転がふらつくと軌道が変化

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の有馬孝尚教授、松浦慧介大学院生、日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門の梶本亮一研究主幹らの共同研究チームは、マンガンとバナジウムの複合酸化物(MnV2O4)における電子スピンのふらつきを測定。磁性体において熱の伝わり方や磁石の向き、磁石の強さなどをコントロールする場合に重要な指標である電子スピンのふらつきが電子軌道の変化と結びついていることを明らかにすることに成功した。
(29年7月7日号)

触媒活性指標の回転数190万回実現

 東京工業大学物質理工学院の本倉健講師、前田恭吾大学院生らの研究グループは、オレフィンのヒドロシリル化反応に極めて高活性を示す固定化ロジウム触媒を開発。活性・安定性の指標となる触媒回転数(触媒1分子が目的とする反応を進行させた回数)がこれまでより1桁大きい190万回に達することを発見した。
 ヒドロシリル化反応とは、ケイ素に直接水素が結合した化合物(ヒドロシラン)を他の分子へ付加させる反応のこと。その生成物である有機ケイ素化合物は、シリコーン製造工業で用いられる重要な化合物である。
(29年7月7日号)

大気圧下での電極触媒挙動観測法開発

分子科学研究所は、NEDO事業において、硬X線による大気圧下での光電子分光測定方法の開発に世界で初めて成功した。燃料電池性能を大きく左右する電極触媒について、これまでは実際に電池が作動する大気圧下での挙動観測は不可能であったが、今回開発した測定方法はそれを可能にした。
 今後、この測定方法を活用することで、触媒の反応や劣化メカニズムの高精細な観測が可能となり、その知見を触媒開発にフィードバックすることで、燃料電池の高機能化につながると期待される。
(29年7月7日号)

日本列島の地殻変動の原因はフィリピン海プレートの運動だった 

 産業技術総合研究所地質情報研究部門の高橋雅紀研究主幹は、アナログ模型を併用した思考実験に基づいて、第四紀の日本列島の東西短縮地殻変動の原因が、これまで考えられていた太平洋プレートの運動ではなくフィリピン海プレートの運動であることを明らかにした。日本列島を取り巻くプレートの運動と地殻変動が論理的に結びついたことで、過去のプレート運動と過去の地殻変動の因果関係だけでなく、将来の地殻変動についても、地質学的なシナリオを描くことが可能になる。地質調査研究報告にオンライン掲載された。
(29年7月7日号)

小笠原諸島の火山列島で魚類調査実施 未記載種や日本初記録種

国立科学博物館の栗岩薫非常勤研究員らは鹿児島大学と共同で、小笠原諸島の火山列島で魚類調査を実施、未記載種や日本初記録種を発見した。
 調査は6月5~10日に行われ、小笠原群島より南に200キロメートルほど離れた火山列島(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島)の沿岸で浅海性魚類を採集した。火山列島での調査は、北硫黄島では49年振り、硫黄島では23年振り、南硫黄島では10年振りとなる。
 9・7トンの漁船1艘、総勢7人で調査を行い、南硫黄島では上陸して波打ち際での調査も実施した。南硫黄島は形成以来ほとんど人為的な影響を受けていない原生自然環境保全地域を持ち、北硫黄島は終戦以来無人島となっていることから、独自の生態系を維持している。
 今回の調査では、未記載種(トビササウシノシタ属)、日本初記録種(クレナイトゲメギス属)を含む、約140種、300個体の魚類を採集した。今後は、分類学的な同定を行い、種の多様性を明らかにする。一部はゲノム解析を行う。
 これまでの調査は目視記録、水中写真による記録で、ほとんど標本は残っていなかった。今回取得した魚類は、魚類学術標本として、同館等に登録され、世界中の研究者が利用できるようにする予定だ。
(29年7月7日号)

 東京理科大学、神戸大学、パシッフィックコンサルタンツ(株)、三菱電機(株)、三菱電機エンジニアリング(株)、(株)ニュージェック、(株)ビィーシステム、四葉システム開発(株)㈱は、共同で高感度CCTVカメラによる河川の撮影技術と、画像解析技術、水理解析技術を融合した河川水位・流量のリアルタイムモニタリングシステムの開発に成功した。
(29年6月30日号)