半導体ダイヤモンドで超高温発生

岡山大学惑星物質研究所の米田明准教授、謝龍剣大学院生、愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の入舩徹男教授、高輝度光科学研究センターの肥後祐司研究員らの研究グループは、半導体ダイヤモンドヒーターを用いた超高圧下での高温発生で、川井型マルチアンビル装置(高圧発生装置:開発者の故川井直人大阪大学教授を記念した名称)で半導体ダイヤモンド(SCD)ヒーターを開発し、従来よりも1000K以上高い約4000Kの温度発生に成功した。
(29年11月3日号)

症状ない感染者がノロウイルス発生源か

 ノロウイルスに感染しているにも関わらず、症状の出ない無症候ノロウイルス感染者が多数おり、このことがノロウイルス感染症の伝播につながっているかもしれない。神戸大学大学院医学研究科附属感染症センターの勝二郁夫教授、内海孝子特命講師、国立感染症研究所の片山和彦室長(現・北里生命科学研究所教授)らの研究グループは、インドネシアの健康なボランティア(無症候者)の便中から高率にノロウイルスが検出されることを分子疫学的に証明した。無症候感染者がノロウイルス感染症の発生源となることを示唆しており、ノロウイルス感染症の伝播様式の解明につながる成果である。
(29年11月3日号)

雷放電経路3次元観測システム試験開始

防災科学技術研究所は、雷放電経路3次元観測システムによる雷の試験観測を開始した。
 このシステムは、落雷だけでなく雲内や雲間の放電(雲放電)観測にも優れたLMA(ライトニング・マッピング・アレイ)を観測装置を用いる。これは、落雷や雲放電により放射された電磁波(VHF帯)を複数台のセンサーで受信して、放電位置を決定、3次元的な放電経路(緯度、経度、高度、時刻など)を取得する。現在、茨城、千葉、埼玉、東京に8台のLMAセンサーを配置している(将来的には首都圏に12台を配置する)。
(29年11月3日号)

一般物体認識分野の認識精度世界一を達成

 大阪府立大学工学研究科の大学院生・山田良博さん(博士後期課程1年)、岩村雅一准教授、黄瀬浩一教授らは、世界最高精度のニューラルネットワークを開発。一般物体認識分野の認識精度世界一を達成した。熊本大学で行われた電子情報通信学会パターン認識・メディア理解研究会で発表。
(29年11月3日号)

「反応しやすいフルオロアルケン」理研が簡便合成

医薬品や機能性高分子の材料として有用なフルオロアルケンは、他の物質との反応性が低いことが課題だった。理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターの植竹裕太特別研究員、丹羽節副チームリーダー、細谷孝充チームリーダー、大阪大学大学院工学研究科の阪口博信大学院生、大橋理人准教授、生越專介教授の共同研究チームは、アルケンの炭素上に複数あるフッ素のうち、一つだけを選択的にホウ素に置き換える化学反応を開発し、簡便に合成できるフルオロアルケンを開発することに成功した。今回開発した手法は、有機合成化学の基本的な技術として、創薬や生命科学研究、機能性高分子の開発などへの応用が期待される。
(29年10月27日号)

二次代謝産物の生合成遺伝子推定を簡便に

 理化学研究所環境資源科学研究センター機能開発研究グループの花田耕介研究員(現九州工業大学情報工学研究院准教授)、同工学研究院の白井一正研究職員らの共同研究グループは、複数の植物ゲノムデータを統合させた情報解析を利用して、二次代謝産物の生合成に関わる遺伝子群を高精度で推定する簡便な方法を開発することに成功した。
(29年10月27日号)

アモルファス物質中の原子拡散を再現

 産業技術総合研究所機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターの安藤康伸研究員、東京大学大学院工学研究科の渡邉聡教授らの研究グループは、アモルファス酸化タンタル中の銅原子拡散を具体的なターゲットに、ニューラルネットワークを用いて第一原理計算(DFT)結果をよく再現する原子間ポテンシャルを構築。これを用いてアモルファス内部の銅原子拡散挙動を詳細に調べ、第一原理計算結果や実験データをよく再現できることを実証した。
 研究グループは、「アモルファス内の原子拡散経路の全探索」という、高精度だが高コストな密度汎関数法計算のみでは困難な問題に注目し、高精度な計算結果をニューラルネットワークモデルに学習させることで、低コストかつ高精度な原子間ポテンシャルを構成した。これにより現実的な計算時間で全経路の同定に成功し、アモルファスの安定原子構造と矛盾しない形で導かれる拡散経路のモデリングが可能となった。
(29年10月27日号)

「陸上植物の祖先の特徴保持」ゼニゴケ全ゲノム構造解明

 イネやアブラナなどの被子植物からコケ植物まで、全ての陸上植物は藻類から進化し、約5億年前に水中から陸上へと進出した。苔類は、陸上進出後の最も早い時期に他の種から分かれて独自に進化した植物の系統の1つであり、陸上植物の祖先の特徴を保っているため、苔類を用いた研究によって、全ての陸上植物に共通する重要な分子メカニズムとその進化を解明することが可能になると期待されている。そうした中、京都大学生命科学研究科の河内孝之教授らの研究グループは、豪・モナシュ大学のジョンLボウマン教授、近畿大学の大和勝幸教授、神戸大学の石崎公庸准教授、国立遺伝学研究所の中村保一教授、基礎生物学研究所の上田貴志教授、東北大学の経塚淳子教授をはじめとする国内外39の大学・研究機関と共同で、ゼニゴケの全ゲノム構造を解明した。
(29年10月27日号)