東京女子大が改組へ

 東京女子大学(小野祥子学長)は創立百周年を迎える2018年に、「国際英語学科」、「国際社会学科コミュニティ構想専攻」、「心理・コミュニケーション学科」を新設すると発表した。リベラル・アーツ教育をさらに充実し、より実践的、グローバルな内容へと改組。これまでの4学科12専攻から、5学科12専攻に再編する。
(29年6月2日号)

国際宇宙探査の基本的考え方検討

 文部科学省の国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(主査:藤崎一郎・上智大学特別招聘教授)は5月26日、第19回会合を開催した。同委員会では、各国の関係閣僚や宇宙機関長が出席する第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)の開催に向けて、文科省として有人宇宙探査を中心にした国際宇宙探査の基本的な考え方をまとめる。
(29年6月2日号)

「AIやビッグデータ活用」政府が知財推進計画決定

政府の知的財産戦略本部は16日、知的財産推進計画2017を決定した。ビッグデータ、IoT、AIを活用したサービスが実際の社会に導入されつつあり、その技術開発と実用化の進展が目覚ましい中、その基盤となる知財システムを構築するため、様々な取り組みを盛り込んだ。安倍首相は「ビッグデータや人工知能を駆使し世界に先駆けた課題解決を行うため、データ利活用に関する契約ガイドラインの策定や不正利用を防止する方策など、Society5・0の基盤となる制度を整備します。知的財産は、誰もが創造し活用できる我が国の貴重な資源です。イノベーションと魅力的なコンテンツで我が国の国際競争力を高めるため、政府一丸となって知財戦略を進めてまいります」と挨拶した。
(29年6月2日号)

地震発生30分内に津波被害推計

 東北大、阪大、NEC、国際航業、エイツーが共同開発した「津波浸水・被害推計システム」が、内閣府で運用する「総合防災情報システム」の一機能として採用されることになった。
 これは、地震発生直後に津波シミュレーションを行い被害推計を行うシステムで、南海トラフ域で発生する地震を想定し、地震発生直後に総距離6000キロメートルに及ぶ太平洋沿岸地域の津波被害を、地震発生から約30分以内という短時間で推定することができる。
 同システムの運用は今年度後半を予定している。これにより、大規模地震発生時の津波による広域的な被害を迅速に推定することが可能となり、災害時における政府の迅速な対応に役立てることができる。
(29年6月2日号)

幹細胞化する細胞が隣接細胞の幹細胞化抑制

名古屋大学トランスフォーマティブ生命研究所の佐藤良勝特任講師、金沢大学の西山智明助教、基礎生物学研究所の長谷部光泰教授らを中心とした研究グループは、コケ植物「ヒメツリガネゴケ」の再生能力に着目して研究を進めた結果、分化した葉から1つの細胞だけを取り出し培養した場合、90%以上の高頻度で直接幹細胞化することを突き止めた。一方で、となり合う2つの細胞を葉脈に沿ってとり出した場合には、片方の細胞だけが幹細胞化することが多く、取り出した細胞数全体の幹細胞化率は56%にまで下がることが分かった。
 幹細胞化の抑制は、おそらく通常の発生過程の抑制でも重要と考えられ、今後、幹細胞化を抑制するシグナル物質の実体が明らかになることにより、植物の通常の発生過程における幹細胞の機能の解明につながることが期待される。
 佐藤特任講師の話「このことは、幹細胞化した細胞がとなりの細胞の幹細胞化を抑制していることを示し、これは1つの細胞での再生率が極めて高いコケ植物だからこそ見えてきたものだと考えられます。今後、幹細胞化を抑制する物質の実体を明らかにすれば、幹細胞化過程だけでなく通常の発生過程における幹細胞の機能の解明につながると考えられます」
(29年6月2日号)

2023年の応用数理国際会議 日本開催決定

ICIAM(応用数理国際評議会:International Council for Industrial and Applied Mathematics)の国際研究集会が、初めて日本で開催されることが決まった。2023年の開催地をめぐっては、日本と韓国が誘致活動を進めていたが、今回、安倍首相、鶴保科学技術担当相、松野文科相らがICIAMにサポートレターを送り、日本への誘致に成功した。鶴保科技担当相は「応用数学は、政府が進めているSociety5・0の実現に不可欠な要素。6年後に開催される国際会議が有意義なものとなり、数学そのものの啓蒙に加え、その産業応用に向けた取り組みにつながることを期待している」と話している。
(29年6月2日号)

「科学技術力凋落阻止」日本工学アカデミーが緊急提言

日本の競争力低下をくい止めるためには、大学院システムを改革し、博士後期課程学生の学費、生活費等の費用を大学が支給できるようにすることや、研究人材流動化のため退職金制度を廃止し給与に組み込むことなどの改革を進めるべきである。日本工学アカデミー(阿部博之会長)は、緊急提言「わが国の工学と科学技術力の凋落をくい止めるために」を取りまとめ、5月29日、鶴保庸介科学技術政策担当大臣に手交した。与党や経団連等にも提出し、理解を求めていく。
(29年6月2日号)

【連載 深海、その先に】第4回 深海に行くということ 明るくはない現状

 多くの知識を得るために

現在、フロンティアに人間が行く意味が模索されている。その中で、有人潜水調査船「しんかい6500(6K)」が置かれている現状は微妙だ。
政府の海洋基本計画(第二期、平成25年度~)では、海洋調査の基盤となる海洋調査船、有人・無人調査システム等を着実に整備し、新たな調査機器の開発、新技術の導入を推進。国等が保有する船舶、有人・無人深海調査システム等について、性能を十分に発揮できるよう計画的に代替整備や老朽化対策を進めると明記している。
第5期科学技術基本計画の中にも、海洋科学技術は、国家戦略上重要な科学技術として、長期的視野に立って継続して強化していく必要があるとしている。

文科省での検討のようす

▼外交面でも重要

昨年、文部科学省の科学技術・学術審議会海洋開発分科会のもとに設置された次世代深海探査システム委員会では報告書「今後の深海探査システムの在り方について」をまとめた。日本が高度な深海探査システムを維持し続けることは、国際的な優位性を保つために重要としている。その上で、6Kを最大限活用し、これとは別に水深3000㍍程度まで探査可能な透明な球体のような外観のフルビジョン有人探査機の導入や開発を検討すべきとし、6Kの性能を超えるフルデプス(海洋の最深部まで到達可能な)有人潜水調査船については、社会的・科学的ニーズ等をふまえて検討するという記述にとどまった。
現在、6Kが所属する海洋研究開発機構では、外部有識者を加えた委員会を設置し、次世代深海探査システムについて、深海探査の方向性、無人探査機用の強靭で軽い新素材ケーブルの開発など、具体的な検討が始まっている。まず無人探査から確立する技術を決め、その技術を有人探査にも受け渡していくという流れのようだ。
2012年、中国が6Kの潜水能力を超える潜水船を建造した。同国では、数年後にはフルデプス潜水船を造る計画もあるという。現在、水深6000㍍程度までの潜水能力を持つ船は、世界でも米露仏中と日本のみが保有している。6Kを持ち、運用しているということは、単に深海研究の世界的な優位性を保つだけではなく、安全保障などの外交面でも重要な役割がある。最近では、稀有な能力を活かして、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)関連の海洋資源研究や防災研究など、国家戦略に沿って利用されることが多くなった。国のためのミッションに従事することは、6Kの運用の幅が広がるという意味では重要だ。一方で、同機構の運航経費等が捻出される運営費交付金が大学等よりも高い削減率で年々減らされ、その結果、純粋な科学研究での利用割合が低下している点は問題と言えよう。
同機構深海・地殻内生物圏研究分野の高井研分野長は「6Kだけでなく、無人探査機の潜航回数さえも少なくなっている現状を非常に危惧しています。潜航回数が多ければ多いほど、良い科学成果に結びつく可能性が高くなると思っています。用途の異なる複数の有人、無人探査機での調査が望ましい」と話す。

▼目的別にすみ分け

文科省の関係者は、6Kの研究者2名乗船での運用が可能になった場合、多くの研究者が利用することで深海研究がより発展することを期待していると話す。また、ニーズが多い3000㍍級の有人潜水調査船については、コストの面を含めて国産技術で開発するか、海外製を購入するか柔軟に検討するとし、フルデプスの有人潜水調査船の開発については、どのような科学的成果が得られるか不透明で、開発には技術課題もあるとしている。
一方で、同機構の平朝彦理事長はフルデプス・フルビジョンの潜水調査船開発に意欲的だ。もし実現可能ならば非常にユニークで魅力的な船になる。同機構の田代省三広報部長は「新たなフルデプス・フルビジョン船では、より高性能な耐圧殻や浮力材の素材の開発、下降上昇のスピードを上げるような船体形状、揚収時などにスイマーを必要としない運航方法などへのチャレンジも期待したい」と語る。
例えば、材料開発に強い研究機関や民間企業とともに、深海環境でも耐えられる新素材を開発することができれば、フルデプス船の開発につながるだけでなく、宇宙分野や海底掘削などの極限環境にも適用できる。つまり、この技術を世界的に売り出すことができ、日本の国際競争力向上につながるだろう。もし、十分な予算を確保できないのであれば、フルデプス船については、国際宇宙ステーションや南極や北極での研究のように、船の建造から運用を含め、国際的枠組みで考えていくということも一つの手段ではないだろうか。
深海探査の手段には、それぞれの特徴があるので、目的ごとにすみ分けをする必要がある。例えば、機器の設置や試料のサンプリングはケーブルがある無人探査機(ROV)、広範な海域での効率的なサーベイはケーブルがない自律型無人探査機(AUV)が担当し、機械の目だけでは困難な、画期的な発見につながる探査には有人潜水調査船を利用するといった具合だ。これら複数の探査機をそろえることが、深海探査システムの高度化、効率化には重要な要素だ。現在国内には、6Kのバックアップはないものの、研究等に使えるROV、AUVが増えてきた。SIP等の成果を利用できればシステムとして運用することが可能だ。

▼調査はまだ出発点

これからの有人潜水調査船では、単に深く潜れるかどうかよりも、深海に多くの研究者などを送り込み、広く海の情報、知識を得るための探査をすることが重要になりそうだ。まだ海洋は点の調査しか行われていない。例えば、2015年の国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、海と海洋資源を保全し、持続可能な利用を促進するとしている。そのためにはまず、海の多様性について根本的なところから理解する必要がある。浅海から深海域まで調査ができる有人・無人探査機を組み合わせて調査をすることで、従来できなかった生態系全体を捉えることができるかもしれない。日本のEEZの約半分は4000㍍を超える深海なのだ。日本が海洋調査の旗振り役を担うのは当然だろう。
今後増えてくる様々な海洋データはビッグデータであり、これを適切に解析し理解していくことで、新たな発見や新サービスの誕生にもつながる可能性がある。また、母船とケーブルでつながれていない有人潜水船やAUVとの通信は音響を使うため、時間がかかり、地球上にいるのに、まるで宇宙と通信しているようだ。様々な分野でイノベーションが起きているなかで、民間が利用できる画期的な水中通信手法が発明されるかもしれない。五感を備えた画期的なセンサーが開発される可能性だってある。
今回の乗船取材では、あまりに簡単に深海に行けること(もちろん潜航のためにたくさんの方が準備してくださった)がわかり、研究者ではない一記者でも小さな窓の外の深海という世界に魅了された。これから様々な立場の人が、ROVやAUVを通じて深海を観たり、実際に深海に行く機会が増えるかもしれない。もう、深海を暗くしておくことはできない。

=おわり=

海底から採取した泥 有効な菌が含まれているかもしれない。