「数減少も規模は巨大化」台風発生を詳細予測

 海洋研究開発機構ビッグデータ活用予測プロジェクトチームの山田洋平ポスドク研究員、小玉知央研究員、東京大学大気海洋研究所の佐藤正樹教授らの研究チームは、地球全体の雲を高解像度で表現できる大気モデル「NICAM」をスパコンで稼働させ、過去から将来にわたる60年間分の気候シミュレーションを実施した。台風の発生数は減少するが、強い台風が発生する割合は増加、その強風域が拡大し、台風に伴う降水が増加することを定量的に示した。
(29年10月6日号)

「ゲノム編集の生殖医療利用禁止を」学術会議が提言

ゲノム編集を生殖医療に臨床応用することは禁止すべきである。日本学術会議の医学・医療領域におけるゲノム編集技術のあり方検討委員会(委員長=五十嵐隆・日本成育医療研究センター理事長)は、ゲノム編集の生殖医療への応用について、当面は国の指針で禁止し、法規制も検討すべきとする提言を取りまとめた。五十嵐委員長は「法規制も含めて、国には2~3年以内に対応してもらいたい」と話している。

予期せぬ副作用など重大な懸念/2~3年内に法規制必要
(29年10月6日号)

生活動作支援ロボティックウェア「curara」ニューモデル

信州大学線維学部の橋本稔教授は、“着る”ように装着できる歩行アシストロボット「ロボティックウェア curara(クララ)」の4号機を9月20日公開し、デモンストレーションを行った。3号機に大幅な改良を加え、小型・軽量化したほか、モバイルデバイスによる操作と評価を可能にし、使用者が自身でクララを着脱するための専用の椅子や、専用のバッテリー充電器を開発した。従来のスタンダードモデルに加え、装着感に優れたパンツモデル(衣服型)も新たに開発した。今後さらに小型・軽量化、堅牢性の向上を図り、来年には5号機を開発し、これを実用化する予定だという。今年1月には事業化を進めるために、大学発ベンチャー「AssistMotion(アシストモーション)(株)」を設立した。
(29年10月6日号)

グラフェン内の電子「超高速移動」初観測

高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の福本恵紀特任助教、東京工業大学理学院化学系の腰原伸也教授、フランス国立科学研究センター(CNRS)、仏ピエール・アンド・マリーキュリー大学のMohamed Boutchich准教授らの研究グループは、グラフェン内の超高速な電子の動きが場所ごとに異なることを世界で初めて観測した。
(29年10月6日号)

「身体感覚の伝送可能」慶大が双腕型ロボット開発

 慶應義塾大学理工学部の野崎貴裕助教と村上俊之教授、同大先導研究センターハプティクス研究センターの大西公平センター長らの研究グループは、NEDOの支援で身体感覚を伝送可能な双腕型ロボット「General Purpose Arm」を開発し、9月28日に同大矢上キャンパス(横浜市港北区日吉)でデモンストレーションを行った。

 このロボットは操作システム(マスタ)とロボットによる作業システム(スレーブ)で構成され、視覚、聴覚、触覚、移動感覚が伝送できることから、操作者は遠く離れた場所から臨場感を持って操作することができる。特に触覚は、ロボットが感知したモノに触れた感覚を、あたかも直接触ったように感じさせる世界初の高精度力触覚技術を実現した。人間の代替として産業、家庭、福祉介護、医療、農業などの自動化や省力化につながる成果と期待される。既に30社以上の企業と共同研究を実施しており、様々な分野で応用が進められているという。
(29年10月6日号)

戦略的創造研究推進事業 平成29年度新規課題決定

科学技術振興機構(JST:濵口道成理事長)は、戦略的創造研究推進事業における「CREST」、「さきがけ」、「ACT-Ⅰ」の平成29年度新規採択課題を決定した。同事業は、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションを生み出す革新的技術のシーズを生み出すことを目的に基礎研究の推進を支援している。国(文部科学省)が戦略目標を設定し、それに基づき推進すべき研究領域および研究総括(プログラムオフィサー)をJSTが選定。研究領域ごとに研究提案が募集される。
 平成29年度は、「CREST」の11研究領域、「さきがけ」の14研究領域、「ACT-Ⅰ」の1研究領域で募集を行った。「CREST」は492件、「さきがけ」は1329件、「ACT-Ⅰ」は119件の応募があり、それぞれ52件、146件、30件が採択された。なお「CREST」の研究領域「ナノスケール・サーマルマネージメント基盤技術の創出」については面接選考会の日程変更に伴い、今回の発表には含まれていない。近日中に発表が予定されているという。
(29年9月29日号)

新たな磁気励起の全体像 中性子散乱で観測

 東京工業大学理学院の伊藤沙也大学院生、栗田伸之助教、田中秀数教授、日本原子力研究開発機構の中島健次研究主席、河村聖子研究副主幹、高エネルギー加速器研究機構の伊藤晋一教授、茨城大学の桑原慶太郎教授、総合科学研究機構の加倉井和久サイエンスコーディネータの研究グループは、量子効果が顕著な三角格子反強磁性体の磁気励起の全体像を中性子散乱実験により初めて捉えることに成功した。
(29年9月29日号)

ゾウムシ外骨格の硬さ 共生細菌の働きで維持

産業技術総合研究所の深津武馬首席研究員、安佛尚志主任研究員、森山実主任研究員らと、放送大学、九州大学などの研究グループは、ゾウムシの細胞内共生細菌ナルドネラの存在が外骨格の硬化や着色に必須であることを見いだした。
(29年9月29日号)