新設の官民研究開発投資拡大プログラム 領域総括決定

 総合科学技術会議は7月26日、来年度予算で創設する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の領域総括3氏を決定した。革新的サイバー空間基盤技術(AI/IoT/ビッグデータ)領域は、安西祐一郎日本学術振興会理事長。革新的フィジカル空間基盤技術(センサ/アクチュエータ/処理デバイス/ロボティクス/光・量子)領域は、佐相秀幸富士通研究所顧問。革新的建設・インフラ維持管理技術/革新的防災・減災技術領域は、田代民治毛島建設代表取締役副社長執行役員。
 PRISMでは、ターゲット領域に関連する各省庁の施策を評価した上で、対象施策を特定し、財務省と連携して各省庁での予算化を支援するとともに、推進費を活用して事業費の一部を内閣府から拠出するというもの。
 領域総括は、ターゲット領域の関連施策の連携促進、推進費を配分する対象施策を中心となって選定、毎年度の推進費の配分の審査を中心となって実施、対象施策の進捗状況およびSIP型マネジメントの実施状況のフォローアップ、対象施策のステージゲート方式による評価を中心となって実施する。
(29年8月4日号)

反芳香族分子の電子伝導性 単分子レベルで計測成功

東京工業大学理学院化学系の藤井慎太郎特任准教授、木口学教授、名古屋大学大学院工学研究科の忍久保洋教授らの研究グループは、反芳香族分子の高い電子伝導性を単分子レベルで計測することに世界で初めて成功した。
 π電子を4n個もつ環状分子である反芳香族分子は、高い反応性、優れた電子伝導性、特異な磁気的性質を示すことが期待されているが、不安定で、その電子伝導性を分子レベルで実証した研究は行われていなかった。忍久保教授らは大気中でも安定な反芳香族分子ノルコロールの合成に成功している。
(29年8月4日号)

GARISⅡを用いてコペルニシウムを合成

 理化学研究所(理研)仁科加速器研究センター超重元素分析装置開発チームの加治大哉研究員、森本幸司チームリーダー、理研超重元素研究グループの森本浩介グループディレクターらの共同研究グループは、新しく開発した超重元素実験装置である気体充填型反跳分離装置『GARIS(ガリス)‐Ⅱ』を用いて、原子番号112のコペルニシウム同位体(283Cn)を合成し、その崩壊エネルギーと崩壊時間の検証に成功した。
(29年8月4日号)

京都10大学が東京に魅力発信の拠点

 京都大学(山極壽一総長)は京都の9つの大学と共同で、東京都千代田区の新丸の内ビルディング10階に「京都アカデミアフォーラム」を7月12日開所し、同日開所式を開催した。京都の文化、芸術、科学についてパートナー大学と共に学術面から情報発信し、京都の魅力をさらに知ってもらいたいとしている。同所フロアには、昨年4月から京都大学が東京オフィスを開設している。開会式には京都市の門川大作市長、パートナー大学の理事長、学長が出席した。
(29年7月28日号)

「血管網のリアルタイム可視化に道」光超音波3Dセンサー

 人体の血管網と血液状態を3次元でリアルタイムに可視化することができれば、血液系の様々な病気の予防や診断、治療につながる。ジャパンプローブ研究開発センター長の大平克己氏らの研究開発グループは、1024個の超音波受信用の圧電振動子を球面形状に配置した超音波センサーを開発し、光超音波イメージング法(レーザー光を照射し、吸収体が光を吸収し、吸収体が熱膨張して発生する音波を検出し、イメージングする)によるリアルタイム3Dイメージングを実現した。血管から発生する超音波を様々な方向から受信することができるため、血管網のリアルタイム3Dイメージングへの道を拓くことができた。
(29年7月28日号)

「電圧効果で原子変形」超省エネ磁気メモリ実現

 大阪大学の三輪真嗣准教授、高輝度光科学研究センターの鈴木基寛チームリーダー、東北大学の辻川雅人助教、産業技術総合研究所の野崎隆行研究チーム長、物質・材料研究機構の大久保忠勝グループリーダーらの研究開発チームは、電圧により電気的に原子の形を変えることで超省エネ磁気メモリを実現する原理を発見した。
IT機器の低消費電力化は重要な課題である。その中でナノメートルサイズの磁石の磁極(N極S極)により情報を記録する不揮発性メモリの研究開発は重要で、このメモリの書き込み技術のために大きな電圧磁気効果の開発が望まれている。
(29年7月28日号)

日本人3554人分の全ゲノムリファレンスパネル作成

 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)は、日本全国をほぼカバーする健常者3554人分のゲノム塩基配列を解析することで、信頼度の高い約3710万個の一塩基変異(SNVs)を明らかにし、日本人の全ゲノムリファレンスパネル(3・5KJPN)を作成したと7月18日発表した。日本人の持つSNVsの約0・03%をカバーし、データは夏中に公開するとしている。公開データには、全てのSNVsの位置情報、アレル頻度情報、アレル数情報を含む。日本人を対象とするゲノム医療への貢献が期待される。
(29年7月28日号)

概算要求基準決定 優先課題推進枠3.9兆円

 政府は7月20日、臨時閣議を開き、2018年度予算概算要求基準を閣議了解した。約3・9兆円の新しい日本のための優先課題推進枠を設定したほか、年金・医療等の社会保障費については、高齢化等に伴う増加額6300億円までの範囲で要求を認めるとしている。
 新しい日本のための優先課題推進枠では、人づくり革命の実現に向けた人材投資や地域経済・中小企業・サービス業等の生産性向上に資する施策をはじめ、未来投資戦略2017などに盛り込まれた諸課題について取り組むため、政策的経費14・6兆円の9割を要望基礎学として、その30%まで予算要望することができる。予算編成過程では、各省庁の要求・要望について、民間需要や科学技術イノベーションなどの誘発効果が高いもの、緊急性が高いもの、規制改革と一体として講じるものを重視する。また幼児教育・保育の早期無償化など高等教育を含め、社会全体で人材投資を抜本強化するための改革については財源と合わせて予算編成過程で検討するとしている。
 安倍政権でのこれまでの3年間の取り組みでは、一般歳出の実質的な増加は1・6兆円となっており、来年度予算も同様の規模になると思われるが、どこまで科学技術関係に真水の予算がつくのかの見通しは立っていない。
(29年7月28日号)