宇宙政策委員会が第64回会合を開催

 内閣府の宇宙政策委員会は11月16日、第64回会合を開催した。
 宇宙ビジネス創出の取り組みと、宇宙基本計画工程表改訂に向けた同委員会の下部部会の検討状況が報告され、工程表の改訂案について方向性が示された。
 同委員会の宇宙安全保障部会の意見としては、即応型の小型衛星の具体的な運用場面やニーズの検討、Xバンド防衛衛星通信網の着実な整備、宇宙システム全体の機能保証強化におけるシステムの脆弱性評価方法の検討などが挙げられている。宇宙民生利用部会からの意見としては、来年度以降の準天頂衛星システムの開発や利活用について、宇宙データ利用の促進、S-NETの機能強化など新ビジネス創出関連で具体的な推進項目が追加された。また、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)3号機へのGCOM-W後継センサ相乗りの検討と来年度から開発を始めることなどが挙げられた。宇宙産業・科学技術基盤部会からの意見では、部品に関する知的財産技術戦略の策定や、調査分析・戦略立案機能の強化、宇宙科学・探査分野の人材育成の推進、スペースデブリの低減や発生防止などの国際ルール作り、その対策技術が挙げられた。
 これらの意見が反映された改訂案については、年末の決定に向けて、まとめられるという。
(29年11月24日号)
 

大学の地域貢献度ランク 阪大が首位

 地域社会に最も貢献した大学はどこなのか。日本経済新聞社は全国748大学を対象に、各大学が教育・研究などを通じて地域社会にどのような貢献をしているのかを探る地域貢献度の調査を実施し、ランキング形式で公表した。総合ランキングトップは大阪大で、信州大、鹿児島大が続き、私立の立命館大が4位、5位には公立の北九州市立大が入った。
 学生や教員の国際化、地場産品などの海外向けブランド化支援などの取り組みを評価したグローカル分野での評価が高い、大阪大(グローカルランキング1位)、立命館大(同1位)、信州大(同3位)、鹿児島大(同3位)、北九州市立大(同3位)、神戸大(同3位)が、総合ランキングでも上位に入った。
 西尾章治郎大阪大学総長は「産学連携において、企業と共同研究講座、協働研究所を設ける際は、必ず大学院生をメンバーに加えてもらうことで、イノベーションの創出に貢献できる人材を育成している。ローカルな立場とグローバルな視点を併せ持つ人材を育ててきたことが、評価されたのではないか」と話している。
(29年11月24日号)

「二酸化炭素を選択的に分離」ハイブリッド膜開発

 東京農工大学大学院工学府応用化学専攻の兼橋真二特任助教とオーストラリア州立メルボルン大学化学工学科のサンドラ・ケンティッシュ教授は、二酸化炭素を選択的に分離回収できるハイブリッド分離膜材料の開発に成功した。
 現在、世界的な環境問題である地球温暖化に対し、その原因とされる二酸化炭素の削減が急務とされている。その抜本的な対策である二酸化炭素回収・貯留プロセスは、現在世界的に研究が進められている。
(29年11月24日号)

「大学改革強化」経済財政諮問会議とCSTIが方針

経済財政諮問会議と総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の合同会合が16日、開催され、若手研究者の安定的な雇用と活躍できる研究環境を実現するため、若手向け人件費・研究費枠を拡大する一方、シニア研究者には役職定年制のような制度を導入することで厳しい競争環境におくという方針を固めた。安倍晋三首相は「民間議員から、政府の研究開発では出口戦略を明確にして取り組むとともに、手続きを簡素化し、厳格な評価とマネジメントを徹底すべき、ガバナンス改革や若手研究者の活躍促進など大学改革を強化すべきといったご意見をいただいた。日本経済の持続的な成長のためには、イノベーション力の強化が欠かせない。松山大臣、林大臣をはじめ関係大臣には、本日の議論を踏まえ、具体的な政策を早急に策定し、その実現に取り組んでいただきたい」と指示があった。松山政司科学技術政策担当大臣は翌日の記者会見で、29日にも大学改革をテーマに政策討議を実施し、具体化していく考えを明らかにした。
(29年11月24日号)

スポーツ脳科学でソフトボール選手強化

 NTTは、スポーツ脳科学(SBS:Sports Brain Science)プロジェクトの一環として、日本ソフトボール協会と共同実験協定を締結し、ソフトボールのトップ選手や若手選手の実験的・実戦的な計測を行い、日本代表選手など多様な能力を備えたアスリートについて、パフォーマンスと脳情報処理の研究を進めることにした。同協会は実験を通して得られる選手のパフォーマンスデータや生体情報を、選手育成やチーム強化に活用したり、ソフトボールの競技力向上のための新たなトレーニング手法確立につなげていくことを目指す。
(29年11月24日号)

ベローズ式伸縮管継手の耐久能力等を実証

 日本原子力研究開発機構もんじゅ運営計画・研究開発センター、福井大学附属国際原子力工学研究所は、ナトリウム冷却高速炉における格納容器破損防止対策に関する研究の一環として、原子炉格納容器等においてバウンダリ機能(気密性)を維持しながら配管などの熱膨張を吸収するために設置されるベローズ式伸縮管継手に対して、最大設計圧力を大きく超えた内圧を負荷する実験を行った。
(29年11月24日号)

1万年以前のライオン 冷凍状態で発見

今年9月、ロシア・シベリア地方のサハ共和国・アビニ地区ヤンジン川のほとりで、1万年前に絶滅したホラアナライオンの子供「ボリス」が冷凍された状態で見つかった。
 ホラアナライオンは現在のライオンの亜種と考えられており、ユーラシア大陸などにマンモス等と一緒に生息していたと考えられている。これまで骨や化石しか見つかっていなかったが、2015年にホラアナライオンの赤ちゃんが冷凍状態で2匹発見され、東京慈恵会医科大学の鈴木直樹教授らとロシアの研究チームが解析を行い、5万年以上前に生まれたことなどを明らかにしている。
 今回、同チームは新たな個体ボリスの発見をロシア大使館で公表した。今後、詳細な解析を進めるという。
 鈴木教授は「古生物学はわずかな痕跡から研究者が様々な可能性を追求していくものだが、冷凍状態の子供が見つかったことで、胃の内容物から他の動物の情報が得られるなど、多くの直接的な情報を与えてくれる。タイムマシンで数万年前に行って生物を調べるのと同等の価値がある」と話している。
(29年11月24日号)

高温超伝導転移直前に未知の電荷秩序発見

 岡山大学大学院自然科学研究科の鄭国慶教授、川崎慎司准教授らの研究グループは、銅酸化物高温超伝導体において、未知の「電荷密度波秩序」が存在することを新たに発見した。
 物性の研究に外部摂動として強磁場の印加がしばしば用いられる。ただ銅酸化物(CuO2)面に垂直に磁場を印加するとボルテックス(渦糸)が生成されて、渦糸中心の影響が新たに生じてしまう。
 そこで、研究グループは、面内に渦糸が生成することを防ぐためにCuO2面に平行に磁場を印加し物性応答を調べることにした。その結果、超伝導発現し始めるところでは、スピン秩序に取って代わって電荷秩序が現れることを突き止めた。電荷秩序の臨界温度は、スピン秩序温度の連続的な延伸であり、キャリア濃度の増加とともに減少する。
 鄭教授の話「銅酸化物高温超伝導体ではスピンや電荷、ボルテックス(渦糸)等が複雑に絡み合っているが、今回の研究で電荷の振る舞いを他の秩序から分離して測定できた意義が大きい。今後、電子のもつ基本素性である”電荷”の役割にいっそう注目が集まり、高温超伝導発現機構の解明に拍車がかかることを期待したい」
(29年11月24日号)