「水噴射の反力でホース浮上」空飛ぶ消火ロボ開発

 東北大学大学院情報科学研究科の田所諭教授と昆陽雅司准教授、多田隈建二郎准教授、同工学研究科の安部祐一助教、八戸工業高等専門学校の圓山重直校長、国際レスキューシステム研究機構などの研究グループは、水を噴射する反力で空中に浮上し、建物内に突入して火元を直接消火できるロボット消火ホース「ドラゴンファイヤーファイター」のプロトタイプ開発に世界で初めて成功した。遠隔操作で火元に直接放水できるため消火活動のリスクを低減し、最小の水量で迅速な消火が可能と期待される。現在ホースは3メートルだが、今後20メートル程度を目標に長尺化し、3年以内の実用性確認を目指すという。研究は内閣府総合科学・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジの一環として行われた。
(30年6月8日号)

「統合イノベーション戦略素案」月内閣議決定へ

今月中旬に閣議決定する統合イノベーション戦略の素案が明らかになった。第5期科学技術基本計画は一定程度の成果をあげているものの、その目標を達成するためには、抜本的な戦略転換が必要だと指摘し、知の源泉から社会実装までの一気通貫の戦略を提示した。また戦略を実現するため、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)、IT総合戦略本部、知財本部、健康・医療戦略推進本部、宇宙開発戦略本部、総合海洋政策本部など、イノベーションに関連する司令塔会議を実質的に一つの方向にまとめる統合イノベーション戦略推進会議を今年夏をめどに設置する。従来の科学技術イノベーション政策だけでなく、政府事業全体のイノベーション化が鍵になる。
(30年6月8日号)

凝集タンパク質を再生するClpBリングの構造変化を直接観察

 ClpBはリング状の構造を持つタンパク質で、生命にとって有害な凝集タンパク質をほぐして再生する「脱凝集」機能を持っている。ClpBは脱凝集の際、ATP(アデノシン3リン酸)のエネルギーを利用して、リング中央の孔にタンパク質を通すことで脱凝集すると考えられていたが、その具体的な仕組みは分かっていなかった。
 名古屋大学の内橋貴之教授をはじめとする、甲南大学、大阪大学、自然科学研究機構生命創成探究センター、生理学研究所、分子科学研究所、金沢大学の共同研究グループは、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を使って、ClpBリングの構造変化を直接観察することに初めて成功した。
(30年6月8日号)

DNA損傷を減らす植物ホルモン

 東京理科大学理工学部応用生物科学科の松永幸大教授、坂本卓也助教らの研究グループは、植物の成長ホルモン「オーキシン」がDNA損傷を減らす効果を持つことを発見した。
(30年6月8日号)

「IoTセンシングを安価に」阪大が新技術実証

 大阪大学大学院工学研究科の小西毅准教授らの研究グループは、これまで開発に成功していた新規超波長分解能法を用いて、IoTで注目される光ファイバ温度センシングの課題を克服するデモンストレーション実験に成功した。
 既製のセンシング機器には、IoTへの単純流用が困難なものも多く、光ファイバセンシングの信号解析用分光器でもそのIoT向けの最適化が課題となっている。小西准教授によると「既製の分光器は最適化が困難なほど過度に集積化されたものが多く、デモンストレーションのベースとする分光器を選ぶのに苦労しました」という。
(30年6月8日号)

国際学生科学技術フェア「日本の高校生が好成績」

 5月13~18日に米国で行われたインテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)で、日本の高校生が好成績を収めた。
 インテル国際学生科学技術フェアは、今回で69回目。日本は60回目の参加となる。自由研究の成果をまとめた展示パネルを使用し、審査員の口頭試問を受ける。研究の課題設定、計画と手法、実施、創造性、プレゼンテーションが評価対象となる。研究分野別に22部門が設定され、それぞれ1~4等までの優秀賞が選出される。企業や学会などの特別賞も設けている。
 今回は、81の国と地域から1792人が、日本からは12組23人の高校生らが参加した。
(30年6月1日号)

第3期海洋基本計画を閣議決定

 政府は5月15日、第3期海洋基本計画を閣議決定した。これは、今後5年程度の海洋政策の方向性を示したもので、今回で2回目の改定。2週間のパブリックコメントが行われ、これまでで一番少ない200件程度の意見が寄せられた。
 今回の大きなポイントは、海洋の安全保障について手厚く記述したことだ。海洋を取り巻く昨今の情勢変化を踏まえ、北極政策とともに主要施策に加えられた。引き続き、海洋海底資源など海洋の産業利用促進についても積極的な内容が明記されている。
(30年6月1日号)

南極湖沼の湖底 小型ROVで連続撮影

 東京海洋大学海洋電子機械工学部門の後藤慎平助教と国立極地研究所生物圏研究グループの田邉優貴子助教らの研究グループは、第59次南極地域観測隊(土井浩一郎隊長)の公開利用研究として実施した南極大陸の湖沼調査において、小型無人探査機(ROV)に搭載したステレオ視カメラによる湖沼の連続撮影に世界で初めて成功したと発表した。南極の極限環境でも安定的に動作する小型ROVを新たに開発。南極湖沼の底に棲息するコケボウズの分布状況を得ることができる画像情報が得られた。
(30年6月1日号)