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コラム・素領域

2026年4月10日号

素領域

医療情報が研究や開発などに使えるようになれば、創薬や医療技術は加速度的に進展する。医療情報の2次利用は、次世代医療基盤法の改正や、AMEDによる支援強化が進んでいるが、現場の課題も多い▼AMED革新的医療技術研究開発推進事業「がん診療の質の向上と研究開発に資するリアルワールドデータプラットフォーム開発」では、京都大学を中心に、全国25施設から、がん登録データとレセプトデータを収集。それに日常診療の電子カルテデータや画像読影レポート、有害事象等の情報を構造化して組み合わせる。これにより、治療法の統計的評価と治療へのフィードバック、患者固有の特性や疾患履歴、投薬情報などと統合した解析による治療指針の検討、新薬などのランダム化比較試験などでのビッグデータ利用などができるようになる▼しかし、制度やシステムの問題でデータ統合が難しい。次世代医療基盤法では、ゲノム・画像データは仮名加工データに含められない。また匿名加工や仮名加工の医療情報は、複数の認定事業者間で移動できない。学術研究か公衆衛生の向上の範囲でなければ、要配慮個人情報を扱えない。病院のシステムや検査ごとにデータ格納方式がバラバラであり、データ構造化処理をしなければデータ利活用できない▼政府の検討会では、2次利用について、EUのEHDS(European Health Data Space)規則を参考に、新たなルールを検討。議論では、患者団体、医療・創薬関係者は前向きだが、法律家の一部は慎重だ。日本だけが自ら過剰な足かせをつけている余裕はもうない。政府は、夏頃には諸案を取りまとめ、次期通常国会に関連法案の提出を目指すという。