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科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。
NPO法人チャリティーサンタは今年も「大変な境遇にいる全国の子どもたちに、サンタクロースが本を届ける」ブックサンタ2024のクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/801426/view)を開始した▼全国330の子ども支援団体が協力して10万人の子どもに新品の本を”サンタクロースから”として贈る取り組みで2017年から活動を続けている▼クラウドファンディ…
先日、日本三景の一つ、松島に泊まることがあったが、例年とは異なり、牡蠣が痩せてしまっていて非常に残念な思いをした。翌日の八戸の市場では、三陸産が痩せている一方で、北海道産はプリッとしてクリーミーな味わいだった。しかし、名産のイカは不漁で市場関係者の顔は明るくなかった▼北極海域での氷の減少は、偏西風を蛇行させ、台風の進路や地球全体の空気の流れを変えてしまっている。さらに海洋大循環にも大きな影響を与え…
テレビや新聞などで連日のように報道されるイスラエルとパレスチナ・ガザ、ロシアとウクライナの紛争。大勢の一般市民が犠牲になり、街の建物などが破壊された悲惨な姿が放映され、激化している状況が伝わってくる▼自身も含めて、これを誰も止めない、止められないのを悔しい、情けないと思っている人は多いはずだ。なぜ世界が一致協力して紛争を止められないのか。世界の各地で、国や地域の対立が深まっているせいなのか▼6月末…
9月ごろから各県でドングリの豊凶調査結果が発表されている。クマの被害拡大の一因であるドングリの不作を予測することを目的に例年行われ、群馬県や兵庫県では今年は不作を発表。冬眠前のクマがエサを求めて人里に出没する恐れがあるとして注意を呼びかけている。特に兵庫県は14年ぶりの「大凶作」で、ツキノワグマの出没数が過去5年平均の2~4倍になると予測している▼ドングリはブナ科の果実の俗称で、ドングリという名前…
東京大学大学院工学研究科の古澤明研究室で研究開発が行われてきた、光の量子コンピューターを実用化するため、東大発ベンチャーOptQC社が発足した。量子コンピューターというと、超伝導回路、原子、電子などを量子的に操作するもので、日本でも理研が実機を開発するなど、社会実装に向けて研究開発が進んでいる。一方、光を使った量子コンピューターは量子操作した光パルスが量子ビットとして使えるため、大規模化が容易だが…
9月16日の「敬老の日」にちなんで、総務省統計局が「統計からみた我が国の高齢者」をトピックスとしてまとめた▼それによると、今年9月15日現在の65歳以上の高齢者人口推計は3625万人で過去最多、減少する総人口に占める割合も過去最高の29・3%に達した。世界においても人口10万人以上の200の国・地域の中で、日本の高齢者人口の割合は最高である▼日本の65歳から74歳(前期高齢者)が総人口に占める割合…
第34回イグ・ノーベル賞の授賞式が9月12日に開催され、18年連続で日本人の受賞者が誕生した。今年は武部貴則氏(東京医科歯科大学教授、大阪大学教授)らの研究グループが「ブタなどの動物がお尻を通じて呼吸できることを発見した」ことにより生理学賞を受賞した▼武部氏らは昨年3月にブタを用いた実証に成功。液体酸素パーフルオロカーボンを低酸素血症ブタの腸管に投与する腸換気法が、自己肺機能に依存しない換気効果を…
日本の基礎科学の研究成果を社会実装する手段の一つとして、医工連携が行われている。素晴らしい成果は出ているものの、欧米と比べると成功確率はそれほど高くないのが現状だ。どうして、日本では医工連携がうまくいかないのだろうか▼超音波診断、いわゆるエコー検査は手軽でリスクも低いことから、健康診断などでも使われているが、微妙な異常を見つけるには熟練の技が必要になる。理研AIP、国立がん研究センター、昭和大学の…
とにかく今年の夏も暑い。気象庁の発表によれば、今年7月の日本の平均気温は、同月の平均気温基準より2・16度Cも高く、1898年の統計開始以来、最高であったという▼その暑さは8月に入ってからも衰えず、35度C以上の猛暑日が長く続いた。地球温暖化の影響だと考えられるが、これが海面水温の上昇にもつながっている。気象庁の発表などによると、日本近海の今年の海面水温は平年より高い状態が続いている。特に日本の東…
暑い日が続くが立秋は過ぎ、日が短くなってきた▼警視庁交通局によれば、薄暮時間帯(日の入り時刻の前後1時間)の死亡事故は6月が最も少なく、7月から増加に転じ特に10~12月が最も多く発生する(令和元~5年の統計)。死亡事故は1日の中では日の入り時刻と重なる午後5~7時台に最も多い▼「黄昏時」と呼ばれる薄暮時間帯には自動車と歩行者が衝突する事故の割合が48%と最も高く、昼間(21%、薄暮時間帯を除く)…
世界における日本の研究者の存在感が薄くなっていることは、トップ10%論文の世界順位にも現れているが、この問題はより多くの課題を内包している▼文部科学省が6月に公表した国際研究交流の概況によると、2022年度の海外派遣研究者数は5万7218人で、コロナ禍前の3分の1程度まで持ち直しているが、そのうち5万3973人が30日以内の短期で、30日以上の中長期は3245人と相変わらず少ない。これは海外で同じ…
「生成AIを知っている」小学生は23%、保護者は53%で、そのうち「生成AIの利用」に肯定的な保護者は66%で昨年より10ポイント増加した▼また、知っている小学生のうち「利用経験がある」のは70%。教育・生活事業を展開するベネッセコーポレーションが7月に公表した、全国の小学3年生から6年生とその保護者1032組にアンケート調査した結果である▼それによると、前年と比べて認知や利用率では大きな変化はな…
政府は先月3日、20年ぶりに新紙幣を発行したが、もう実物をご覧になっただろうか? 国民生活センターなどは、新紙幣発行に伴う詐欺行為に注意をよびかけている。「旧紙幣は使えないから新紙幣と交換する」などといって紙幣をだまし取ろうとする事例の発生が予想されるという。日本銀行によれば昭和30年発行の5円札もいまだ有効とのことで、旧紙幣でも当分心配はいらない▼新紙幣ではデザインを変更し、偽造対策とユニバーサ…
米国が先月、核融合エネルギーに関する国家戦略を策定したことで、日本、イギリス、米国の3カ国における国際競争が本格化することになる。高市早苗科学技術担当大臣は「我が国も国家戦略に基づく取り組みを加速するために、国家戦略の改訂に向けた議論を8月から開始します」と発表。2030年代の発電実証の達成に向けて必要な国の取り組みを含めた工程表の作成、小型化・高度化などの新興技術の活用による研究開発ロードマップ…
インターネットをはじめ、各種の情報通信メディアの利用状況を、総務省情報通信政策研究所が調査して毎年報告している▼今年も6月に「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の報告書を公表し、10代から60代までの人の利用状況を明らかにした▼それによると、メディア利用の平均時間は、平日がテレビ135・0分(録画視聴除く)、インターネット194・2分となり、いまやインターネットはテレビを…
海上保安庁は船舶運航者やマリンレジャー愛好家に対し、灯台などで観測した全国各地の風向、風量、風速、高波などの局地的な気象・海象の状況、海上工事の状況、海の模様が把握できるライブカメラ映像などの「海の安全情報」をリアルタイムで提供している。スマートフォン用サイトでは、地図上の管区名をクリックすることで情報を見ることもできる▼海上保安庁が発行する令和5年「海難の現況と対策」によれば、昨年に同庁が取り扱…
医薬品の供給不足が続いている。日本医師会の松本吉郎会長は4月の健康・医療戦略参与会合の席上、経済安全保障推進法でβラクタム系抗菌薬など11物資が特定重要物資として指定されているが、日常診療で頻用する医薬品が供給不足となっており、対応が必要だと訴えた。議長を務める高市早苗経済安全保障担当相は、可及的速やかに対応するよう指示を出した▼その後、高市大臣のもとを厚生労働省幹部が訪れ、後発医薬品への対応につ…
米国では議会がSNSのプラットフォーム会社のトップらを呼んで公聴会を開くなどして、SNS上の有害なコンテンツから子供たちを守ろうという声が高まっている▼こうした子供の保護ばかりでなく、インターネットの有害なコンテンツやソーシャルメディア利用、詐欺、サイバー攻撃などから利用者を守る対策の必要性は、日本でも以前からいわれて取り組まれてきている▼しかし、インターネットをはじめとしたデジタルビジネスについ…
熱中症対策を強化した改正気候変動適応法の今年4月からの施行により、自治体は公共施設や民間施設を指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として指定できるようになった。これは同法により熱中症特別警戒情報が発表された場合に暑熱避難施設として開放が義務づけられた施設で、環境省の定める条件を満たす施設が指定対象となっている▼例えば東京都環境局は5月末に都内のクーリングシェルターもしくはクーリングスポットを公…
日本顕微鏡学会が幕張メッセ国際会議場で開催された。正会員1474人、学生会員127人という小規模な学会だが、学術講演会の参加者数は1000人を超えている。会員の約3分の2が参加するというアクティビティの高さは、材料系、生物系、装置開発系という異分野の産学の研究者が一堂に会することで、新たな発見とイノベーションに結びつく確率が高いからだ▼ものを「見る」というのは、現象を理解する上で欠かせない。例えば…
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