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科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の定点調査2025の調査結果を見ると、第6期科学技術・イノベーション基本計画で資金を投入したにも関わらず、大学の研究現場の状況が悪化したのではないかと批判を受けそうだ。第6期で大きく伸びた資金はグリーンイノベーション基金などの民間向け資金や経済安全保障関連の費用がほとんどで、大学ファンドの運用原資の一部はあるものの、大学現場に直接流れた資金量の増加は限られて…
レアアースの次はオイルである。米国のトランプ政権は核開発を進めているという理由で、イスラエルとともにイランに武力攻撃をしかけている。世界経済は中東のオイル供給がストップして混乱し、中東オイルに依存する世界の国々は米国とイランの和平交渉の先行きを見ているしかない状況だ▼中国がレアアースを取り引き材料にして貿易交渉したり、高市首相の発言をきっかけに日本への対抗措置を強化したりしていると思ったら、今度は…
4月23日は「世界図書・著作権デー」で、「子ども読書の日」でもある▼「世界図書・著作権デー」はスペインの提案により1995年のユネスコ総会で制定された。同国カタルーニャ地方の守護聖人サン・ジョルディの聖名祝日にあたり、その伝説にちなみバラを恋人に贈る風習がもとになっている。加えてこの日がセルバンテスとシェイクスピアの命日にあたり、バラと本を贈りあう日になったらしい▼「子ども読書の日」は読書活動推進…
医療情報が研究や開発などに使えるようになれば、創薬や医療技術は加速度的に進展する。医療情報の2次利用は、次世代医療基盤法の改正や、AMEDによる支援強化が進んでいるが、現場の課題も多い▼AMED革新的医療技術研究開発推進事業「がん診療の質の向上と研究開発に資するリアルワールドデータプラットフォーム開発」では、京都大学を中心に、全国25施設から、がん登録データとレセプトデータを収集。それに日常診療の…
便利なものやサービスというのは、犯罪にも使われやすいのか。ICT(情報通信技術)が急速に発展したのはいいが、インターネットにおけるサイバー攻撃や携帯電話を使った詐欺などの犯罪が横行している状況を考えると、本当にこれがいいサービスなのかどうか疑問に思う▼究極の電話サービスとして始まり発展してきた携帯電話だが、見知らぬ相手からの着信電話があり第三者を騙ったメールが頻繁に届く。うっかりそれに返信すると大…
文部科学省は2月に国立美術館、国立文化財機構、国立科学博物館が達成すべき業務運営に関する目標(第6期中期目標:2026年4月1日~31年3月31日)を発表した。国立文化財機構は、5つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館、皇居三の丸尚蔵館)と、東京文化財研究所、奈良文化財研究所、アジア太平洋無形文化遺産研究センターの計8施設を運営している▼同目標では4年目で展…
現在、創薬にAI(人工知能)を用いる取り組みが進展している。先日開かれた内閣府の医薬品開発協議会では、中外製薬の太田淳研究本部モダリティ基盤研究部長、京都大学大学院医学研究科(理研計算科学研究センター)の奥野恭史教授、国立がん研究センター中央病院国際開発部門の中村健一部門長が、創薬におけるAI活用の取り組みを紹介した▼中外製薬では、抗体配列探索にAIを活用し、複数の活性を持つ抗体をデザイン、ラボの…
本来は人間に恩恵を与えるはずのインターネットやコンピューターなどの先進技術が、進化(深化)にともない人間にとって好ましくない存在になってきた。誰とでもつながるコミュニケーションツールであるはずのSNSは、それを利用した誹謗中傷や偽・誤情報、青少年の犯罪などが問題となっている▼人間よりはるかに速く広く情報を集めて学習し、人間以上にジョブをこなすAIは、サイバー攻撃や人間を殺傷する軍事技術にいち早く使…
環境省は昨年末に令和7年度スギ雄花花芽調査の結果を発表した。雄花の着花量について、各地域の過去10年の平均と比べて200%以上となったのは9道府県だった。高い順に北海道328%、大阪315%、奈良312%、京都272%、徳島272%、山形229%、静岡215%、愛知213%、鳥取202%だった。50%未満となったのは青森44%、岩手49%の2県だけだった▼花粉症の症状軽減には花粉への曝露を防ぐほか…
高市早苗首相は、第2次高市内閣発足にあたって記者会見を開き、責任ある積極財政、安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス機能の強化といった重要な政策転換を進める考えを改めて表明した。中でも責任ある積極財政とは何なのか▼日本国内には、多くの研究者の努力によって、あまたの研究成果が存在している。こうした事業や文化の種を育てるためには投資が必要だ。しかし、日本の民間企業には科学や技術を理解し、中長…
地球温暖化が叫ばれているが、昨年の暮れから今年に入って寒い日が多く、日本海側では平年より多い降雪を記録している▼例年のことだが、冬になると日本海側にはたくさんの雪が降り積もる。こうした雪を大事な資源として考え、少しでも活用する方策はないかと、毎年、豪雪のニュースを聞くたびに思うのである▼資源エネルギー庁のホームページには、そうした活用方策として「雪氷熱利用」の事例が紹介されている。例えば、北海道で…
林野火災は空気が乾燥し強風が吹く春に多く発生する傾向にある。実際、令和2~6年の山火事の月別平均をみると約7割が1~5月に集中し、4月がピークになっている。要因として、この時期に野焼きやあぜ焼きが行われることや山菜採りやハイキングで入山者が増えることがあると考えられている▼林野庁と消防庁は今年も3月1~7日を中心に「全国山火事予防運動」を実施する。「山火事を・起こすも防ぐも・私たち」を統一標語に啓…
子宮頸がんには、腺がんと扁平上皮がんがある。腺がんは検診で見つかりにくく、早期発見が難しい上、転移も多く、死亡につながるケースが多い。ただし、ワクチンによって子宮頸がんの9割以上を予防できる可能性がある▼HPVワクチンは2013年から定期接種になったが、有害事象の報道が相次ぎ、わずか2カ月で積極的推奨が控えられ、接種率はほぼゼロになった。20年頃から一部自治体で定期接種が再開され、22年4月からキ…
21世紀に入ってから今年で26年目を迎えた。もう四半世紀が過ぎたことになる▼しかし、ウクライナとロシアの紛争は続いており、イスラエルとガザは停戦したものの、ガザ地区は紛争で荒廃したままだ▼世界的な異常気象をもたらしている地球温暖化問題への対策も進んでおらず、世界のCO2排出量は今も増え続けている。加えて、米国トランプ大統領が世界をひっかき回している▼中南米やグリーンランドなどをめぐり、新たな国際的…
昨年8月に沖縄美ら島財団と東京大学などの研究グループは、沖縄本島東沖の水深約900㍍の深海で新種のサンゴ「リュウキュウサンゴ」を発見し、話題になった。いわゆる宝石サンゴの仲間で、サンゴ礁を形づくるものとは異なるグループに属し、生態も全く異なる▼造礁サンゴは主に褐虫藻と共生し、光合成で生きているが、宝石サンゴは主に光が届かない冷たい深海でプランクトンを餌に生きている。生殖様式も異なり、宝石サンゴは雌…
毎年、世界で230万人が乳がんに罹患しており、国内でも年間約10万人の新規患者が生まれている。早期乳がん治療の第一選択肢は手術による切除であり、多くの患者が乳房の一部または全部を切除する。最近では乳房温存療法も広がってきたが、手術による傷跡や変形などもあることから、手術そのものを望まない患者も多い▼重粒子線を使ったがん治療は、がん病巣に集中して高い線料を届け、周囲の正常組織に当たる線量を低くできる…
最近、防災関連の話で「フェーズフリー」ということばをよく耳にするようになった。一般社団法人フェーズフリー協会という団体が2018年に発足している▼そのホームページには、14年にスペラディウス代表の佐藤唯行氏(同協会代表理事)がこれを提唱、このことばを、平常時に利用されるすべての商品とサービスが持つ、災害時に役立つ付加価値だと定義したとある▼平常時や災害時という2つのフェーズの制約から自由であること…
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします▼正月には餅の誤嚥にご注意を。消費者庁が2018年と19年の2年間を分析したところ、気道閉塞を生じた食物の誤嚥のうち、65歳以上の餅による窒息事故の死亡者数は18年が363人、19年が298人で、事故発生は43%が1月に集中していた▼餅は温度が下がるに従い硬さと付着性が増す性質があり、喉を通る時には温度が下がりくっつきやすくなると…
今年最後の号となりました。読者の皆さまには、来年が良い年となるよう祈念しております▼今年はクマのニュースが全国的に話題になり、日本漢字能力検定協会が発表した今年の漢字は「熊」になりました。クマによる被害は、地球温暖化による植生の変化や耕作放棄地拡大に伴う里山の減少など、様々な要因が考えられています。こうした状況だからこそ、フィールドワークを含む地道な研究活動がますます重要になると思います▼一般公募…
今年も師走に入り、残すところ3週間程度になったので、振り返って雑感を記したい▼温暖化の影響で今年の夏も大変な暑さだった。しかし、10月に入ると急速に気温が下がり、涼しさを通り過ぎて寒い日が続くようになった。また、東北や北海道を中心に各地でクマが市街地などに出没し、人を襲う事案が多発している。科学分野では二人の日本人のノーベル賞受賞があって明るい話題となった▼注目のAIは開発や利用が進み、様々な分野…
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