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コラム・素領域

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2024年2月23日号 素領域

日本のGDPがドイツに抜かれ、世界第4位に転落した。一方、日経平均株価はバブル期の最高値に迫っている▼実体経済が伴わないにも関わらず、株価が上昇していることについて、多くの専門家が様々な要因分析をしている。世界経済のバランスの中で日本の株式市場に資金が流入していることと、NISAなどの国内政策によって、国内の金融資産が株式市場を活性化させているというのが大方の見方だ▼ドイツは憲法上で連邦政府が地方…

2024年2月16日号 素領域

いま米国では、SNSの有害なコンテンツから子供を守る対策が不十分だという議論が高まっているというNHKのニュースを最近見かけた。日本でもSNSによる誹謗中傷の問題がたびたびニュースに取り上げられており、被害者が自殺にまで追い込まれた事例もあった▼そんなサービスならやめてしまえばいいのにと思うが、日本での利用者数は8270万人、普及率82%(ICT総研2022年度調査)と非常に人気が高い▼しかしイン…

2024年2月9日号 素領域

今年は閏年なので2月は29日まである。国立天文台によれば、現在使われている「グレゴリオ歴」では、西暦年号が4で割り切れる年を閏年とし、例外として100で割り切れて400で割り切れない年を平年と決めている。ちなみに「閏」の漢字は「平年より月日の多い年」を意味している▼まだ寒いとはいえ暦のうえではすでに春を迎え、全国的に梅も咲きはじめた。春一番も立春(2月4日)から春分(3月20日)ごろまでに吹く南寄…

2024年2月2日号 素領域

経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス(SC)制度に関する有識者会議が、最終取りまとめを行った▼SC制度は、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(CI:Classified Infomation)にアクセスする権限を、信頼性を確認した上で与える制度。これまでの制度では、政府関係者や防衛関係者などが軍事技術などの特定機密情報を扱うといったことに限られていた▼ISC(In…

2024年1月26日号 素領域

ChatGPTの登場でいま生成AIが注目されているが、AIがサイバーセキュリティにどう影響するかという興味深いレポートが、昨年末の12月に発表された▼グローバルなサイバーセキュリティ企業であるカスペルスキーがまとめた年次レポートの一つ「サイバーセキュリティにおけるAIの影響」で、2024年以降にAIがサイバーセキュリティに与える影響を予測している▼それによると、組織のサイバーセキュリティを強化する…

2024年1月19日号 素領域

顧みられない熱帯病(NTDs:Neglected Tropical Disease)は公衆衛生管理が困難な主に熱帯の貧困地域に蔓延する疾患群で、WHOによれば世界で10億人が罹患し、16億人が介入を必要としている▼3大感染症(エイズ、マラリア、結核)と比べて世界から関心が向けられず十分な対策がとられてこなかったが、1997年のG8北海道洞爺湖首脳宣言を経て、大きくは2015年の国連サミットでSDG…

2024年1月12日号 素領域

1日1日午後4時10分頃、石川県能登地方をマグニチュード7・6、最大震度7の地震が襲った。お亡くなりになった方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々には心からお見舞い申し上げます▼国内で震度7を観測したのは、2018年の北海道胆振東部地震以来で、同じ震度7を観測している熊本地震、東北地方太平洋沖地震、新潟県中越地震などでも大きな被害が出ていることからも、地震の大きさがわかる▼防災科学…

2024年1月1日号 素領域

新たな年が明け、2024年が始まる。21世紀に入って早くもほぼ四半世紀が過ぎたことになる▼年始には明るい願いをと思うが、昨今の国内・国際情勢を考えるとどうもそうはいかない。長引いたコロナウイルス感染は5類感染症扱いになり、制限されていた日常生活もようやく従来に戻りつつある▼しかし、景気は相変わらず。年末には自民党内の政治資金規正法違反事件が発覚して政治の混乱を招いている。物流業界の2024年問題な…

2023年12月22日号 素領域

「ブックサンタ」をご存じですか? 書店等に「あなたが選んだ本を、サンタクロースが全国の子供たちに届けます」というポスターが貼られているのを見たことがある方もいるかもしれない▼「ブックサンタ」はNPO法人チャリティーサンタが進める、全国の困窮家庭や児童福祉施設等の子供たちに本を贈ることを目的とした社会貢献プロジェクトで、2017年に書店と連携して開始された。提携書店で贈りたい本を買ってその書店に預け…

2023年12月15日号 素領域

日本学術会議の臨時総会が9日に開かれ、声明「日本学術会議のより良い役割発揮に向けた基本的考え方-自由な発想を活かした、しなやかな発展のための協議に向けて-」が採択された▼現在、政府の有識者懇談会で学術会議がその機能を発揮するために必要な制度改革案が議論されている。そこで内閣府が示した法人化案について、5つの条件をクリアしなければ、法人化には反対するというのが今回の声明の要旨だ▼法定事項は最低限にし…

2023年12月8日号 素領域

KDDIは、先月11月23日で国際衛星通信開始から60周年を迎えた。それによれば、日本の衛星通信は1963年11月23日の日米間テレビ衛星中継の実験で幕を開けた▼リレー衛星を用いたこの衛星通信実験の成功で、それまで短波無線が主流の国際通信は新しい時代を迎えることになった。ところが、この画期的な実験で送られてきたのは、なんとケネディ大統領暗殺のニュースだった▼早朝のテレビニュースで、そのショッキング…

2023年12月1日号 素領域

空気が乾燥する冬の12月から、春先の3月~4月まで続く火災が起こりやすい期間に突入する。毎年3月が最多となる▼東京消防庁の令和4年版「火災の実態」によれば平成4年から令和3年までの30年間の火災件数は、平成9年の約7千件をピークに減少傾向にあり、令和3年には約4千件まで減少。同庁が統計を開始した昭和35年以降で最も少なかったのは令和2年の約3700件。発生件数自体は平成27年頃から横ばい状態にある…

2023年11月24日号 素領域

ムーンショット型研究開発制度は、2050年に実現すべき社会を目標として掲げ、破壊的イノベーションを実現するため、失敗を許容し、研究者が長期的な視点で挑戦的な課題に挑戦できることをうたった大型の研究プログラムだ▼しかし、現場の研究者からは「進捗管理が厳しい」「自由に挑戦的な研究ができない」といった、破壊的イノベーションにつながる創造的な仕事ができる環境ではないのではないかという声が多く聞かれる▼破壊…

2023年11月17日号 素領域

11月は「テレワーク月間」である。インターネットが普及して、無線LAN(Wi-Fi)などの環境整備も進み、パソコンとスマホなどで、どこにいても仕事ができる時代になった▼また新型コロナウイルスによる感染拡大が長引いたことも、テレワーク利用を後押しした。しかし、最近は感染者数が減り続けており、通勤・通学、遊び・観光などで外出する人たちの数は以前よりずっと増えてきているようだ▼では、テレワーク利用につい…

2023年11月10日号 素領域

今年の夏は過去126年で最も暑かったという気象庁の報告があったが、季節はやっと秋を迎えている▼日本気象協会が11月1日に発表した紅葉見頃予想によれば、これから色づきはゆっくり進み、例年より遅いか平年並みに見頃を迎えるようだ。東海地方、近畿地方、九州地方の一部が平年並みで、それ以外は遅くなる見込みだという▼桜前線とは逆に北から南下していくのだが、日ごとの実際の紅葉の色づき具合が、カエデ類が色づいた場…

2023年11月3日号 素領域

転ばぬ先の杖。前もって準備しておけば物事で失敗することがないというたとえだが、近年の政策を見ていると、どうも、この言葉を忘れてしまっているようだ▼国立大学が法人化して以降、運営費交付金が減少したことで、各研究室に配分される校費は大幅に減ってしまった。財務省は、競争的資金などが増えたことで国立大学自体の事業費は増えているのだから、経営努力が足りないと以前から主張しているが、実は、国立から法人になった…

2023年10月27日号 素領域

人類に貢献すべき科学技術が、いま非常に危うい気がしてならない。最先端の半導体技術や光技術、宇宙・航空技術、情報通信技術、そして核技術などが盛んに軍事やテロ活動に使われている▼デュアルユースというが、近年は平和利用の側面は影が薄い。例えばIT技術の進歩でインターネットが発展したが、その技術はサイバー攻撃などに悪用され、日常生活における情報通信インフラの便利な利用を脅かしている▼宇宙・航空技術はミサイ…

2023年10月20日号 素領域

春の花粉症はスギやヒノキの花粉が原因だが、秋の花粉症は主にイネ科、ブタクサ属、ヨモギ属、カナムグラといったいわゆる雑草の花粉を原因としている。東京都は都内の主要な花粉の観測を継続し、1月上旬から5月中旬まではスギ・ヒノキ花粉、5月下旬から11月下旬までは前述した雑草の花粉を測定。東京都保健医療局のサイトで公開している▼政府は今月10日に「花粉症対策初期集中対応パッケージ」を公開したが、これはスギ花…

2023年10月13日号 素領域

2023年ノーベル化学賞の受賞内容が事前に漏れた。現地時間の午前7時、王立科学アカデミーから地元メディアに一斉メールが配信され、そこには授賞対象が量子ドットであることや受賞者3人の氏名などが記載されていた。当初、午前10時にノーベル化学委員会が開かれ正式決定し、午前11時45分に発表される予定だったのだが、事前に地元の有力紙、ダーゲンス・ニュヘテル紙などが速報として報じた▼受賞者の情報が事前に報じ…

2023年10月6日号 素領域

米国はデジタル先進国なので、仕事に紙を使うことは少ないのかと思っていたら、そうでもないらしい。ICTの業界団体である情報通信ネットワーク産業協会が公表した米国におけるファクシミリの利用調査結果が興味深い▼有職者を対象に業務での利用状況を調査した結果で、それによると7割の人がいまでもファクシミリを利用しており、紙ベースのワークフローになっているという▼この結果は、同じく同協会が先だって公表した日本で…

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