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コラム・素領域 2019年

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2019年4月12日号 素領域

電車の車窓から眺めると遠くの山並みが、春の霞によりぼんやりとかすんで見える▼これは植物の蒸散作用が活発化することで、大気中の水分が微粒子状となり、気温の低下などによって目に見える状態になる現象で、文部省唱歌などに歌われるだけならばほほえましいのだが、最近では、中国から飛来する黄砂によっても引き起こされるのだから穏やかではない。大陸から舞い上がった黄砂の微粒子とともにPM2・5が偏西風に乗り、日本に…

2019年4月5日号 素領域

気象庁は今年の東京のソメイヨシノの開花日を3月21日とし、満開日を27日とした。昨年より3日遅く、平年より7日早く満開となった。すでに周囲のソメイヨシノの盛りが過ぎてしまったという方は4月中旬ごろから満開を迎える東北以北を狙ってみてはどうだろうか▼先だってかずさDNA研究所らのグループは、ソメイヨシノのゲノム解読を行うと共に、開花に至るまでの蕾や芽の転写産物の解析を行い、開花予測を行うための遺伝子…

2019年3月29日号 素領域

合成生物学が進展し、人工ゲノム・人工ウイルス・人工細胞などが手軽に作製できる時代になってきた。これにより、新たな社会的問題が生まれつつある▼クレイグ・ベンター研究所は2010年、人工的に合成されたゲノムの遺伝情報だけで増殖するマイコプラズマを世界で初めて作製することに成功した。人工生命体の創生につながるものとして世界中から注目を集めた。4000万ドルの研究費と15年の歳月を要した▼技術の進展により…

2019年3月22日号 素領域

近年、自動翻訳技術の精度が急速に向上し、利用が広がりつつある。そうした中で、総務省とNICT(情報通信研究機構)が都内で開催した「第2回自動翻訳シンポジウム」を聴講してきた▼会場は用意された椅子席がほぼ満杯状態で、自動翻訳に寄せられる関心の高さを実感した。当日は400人程度が集まったようだ。この種の講演会としては上々の人気といえるだろう▼シンポでは、NICTが開発・実用化した音声翻訳アプリ「ボイス…

2019年3月15日号 素領域

宇宙には地球と同じような惑星が一体どれくらいあるのだろうかと思いを巡らせる方も多いことだろう▼現在、地球と似ている太陽系外惑星が4千個ほど見つかっていて、世界各国で”第二の地球探し”が活発に行われ、生命の起源に迫ろうとしている。太陽系外惑星で注目されている星が複数ある。まず、プロキシマ・ケンタウリb(プロキシマb)で、太陽に近い恒星である赤色矮星「プロキシマ・ケンタウリ」のハビタブルゾーン(地球型…

2019年3月8日号 素領域

先日、すばる望遠鏡の20周年パーティーが国立天文台と地元日系人商工会議所の共催で開かれた。「すばる」が地元に溶け込んでいる証しであるかのようにアットホームな雰囲気だった▼「すばる」が位置するハワイ島は、ホノルルなど日本人が想像するハワイとは異なった、自然が厳しい場所だ。富士山より高い標高4205㍍の神聖な山・マウナケア山頂に「すばる」は設置されている。北半球の全天、南半球の90%の天体を観測できる…

2019年3月1日号 素領域

東京・上野の東京国立博物館(トーハク)は明治5年、湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会から始まり、再来年には150周年を迎える、日本で最も長い歴史をもつ博物館だ。日本を中心に、東洋の様々な美術作品、歴史資料、考古遺物などを保存・展示しており、国宝89件、重要文化財643件をはじめ約11万7000点以上の収蔵品がある▼これだけのものを扱っているのだから、保存や修復を担当する部署というのは大規模な組織な…

2019年2月22日号 素領域

様々なメーカーが製品化した電話機やファクシミリ、PBX、ルーターなどの最先端情報通信機器が、互いにうまくつながって通信できるかを確認して保証する活動を、長年展開しているHATS推進会議という組織がある▼こうした機器は国際標準に従って製造されるが、各メーカーは独自の技術などを開発し、他社製品より市場優位性のある特徴ある製品に仕立てるため、同じ電話機やファクシミリでも、他社の異機種とうまくつながらない…

2019年2月15日号 素領域

沖縄について、どのようなイメージをお持ちだろう。東シナ海と太平洋に挟まれた日本列島の南西端に位置し、面積的には東京都と同じくらいである▼何といっても青い空と海、ほぼ全域が亜熱帯気候で、1年を通して温暖な気候に恵まれ、常夏に近い恵まれたところといってよいかもしれない。そして健康・長寿の県であること。ほかにもあるだろうが、こと健康面に関しては、それを裏付けるデータが発表されている。厚生労働省がまとめた…

2019年2月8日号 素領域

日本政府観光局(JNTO)によれば、2018年の訪日外客数は約3119万人と史上初めて3000万人を超えた。出国日本人数は約1895万人となっている。政府は2016年に観光先進国に向けて「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、その中で2020年までに訪日外客数を2015年比約2倍の4千万人に増加させる目標を打ち出している▼観光客の増加は、資源の乏しい日本にとって経済上重要であり、外客数の増加は…

2019年2月1日号 素領域

加藤セチという女性がいた。保井コノ、黒田チカに続く日本人女性としては3番目の理学博士で、女性で初の理化学研究所主任研究員である▼明治28年、山形県の裕福な家庭に生まれたが、生家の破産などにより山形県立鶴岡高等女学校を中退して、山形県女子師範学校(山形大学)に移り、卒業後は小学校教師として働き、その後、東京女子高等師範学校(お茶の水女子大学)に進学する。さらに高等女学校の教師を務めながら、北海道帝国…

2019年1月25日号 素領域

自動運転への期待が高まっているが、自動運転車には、道路交通法で定める交通法規に従った運転をするようにシステムが構築されるのだろうか。そうなるなら、大いに期待できることになる▼危険で乱暴な運転などがなくなり、交通事故が減って国民の安全な暮らしにつながるからだ。定められたスピードを超えて運転するのは法規違反だ▼また、日常でたびたび見かける黄色信号で通過する前のクルマの後ろに付いて、赤信号になることが十…

2019年1月18日号 素領域

知人でこんな人がいる。定年後に第二の人生を新たな職場で過ごし、そして今また新たな仕事を見つけるための活動をしているのだ▼もうあくせく働くことなく悠々自適に過ごしたらと思う。一方で、仕事を通して社会との接点をもつことは大切で、特に高齢者になればなるほど健康面での良い影響をもたらすと言われている。それを数値化した研究が、WHOがまとめている学術誌で最近報告されている。定年後の暮らしと健康との関係を考察…

2019年1月11日号 素領域

1月3日、中国の無人探査機が月の裏側への着陸に成功した。世界初の快挙で、2013年の「嫦娥3号」による軟着陸に続き2度目の月着陸となる▼中国は「宇宙強国」を目標に掲げ、日本の宇宙予算をはるかにしのぐ莫大な資金を投入して開発を進めている。米国では予算削減が続いており、日本でも毎年涙ぐましい折衝をして予算を獲得している。現在、無人機であれば数十億円程度(ロケットへの相乗りだともっと安い)で小型衛星を宇…

2019年1月1日号 素領域

新年明けましておめでとうございます。今年も読者の皆様方にとって有益な情報をお届けするため、記者全員で取り組みます▼昨年12月に飛び込んできた運営費交付金の配分方法見直しには驚いた。その週の前半、東大の総長との懇談会があり、運営費交付金1割の共通指標での配分は第4期中期目標期間からだと聞いていたからだ▼運営費交付金は18年度実績で約1兆1000億円。そのうち約1000億円が退職金などの特殊要因経費で…

THE SCIENCE NEWS
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