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コラム・素領域

2019年8月2日号

素領域

日本気象協会によれば、ここ1週間の東京都(離島除く)蚊ケア指数はLv4だそうである(最大Lv5)。これは同協会とアース製薬が過去10年間の気象情報と虫ケア用品の売上情報から予測した蚊対策用品の需要予測式で、同協会のWebサイトで公開されている▼蚊は多くの感染症を媒介する昆虫で、主なものとして、ウイルス疾患であるデング熱、チクングニア熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、原虫疾患であるマラリアがあり、感染症により媒介する蚊の種類も異なる。主に熱帯、亜熱帯地域で流行しており、国内では日本脳炎以外は海外からの輸入感染症となっている。日本脳炎はワクチン、マラリアは予防内服によって防ぐことが可能だが、他の感染症を予防する方法は「蚊にさされないこと」のみである。夏休みを利用して感染地域に行く人は、虫除けスプレー等を用意するなどの注意が必要だ▼温暖化やグローバル化により、これら感染症が従来の流行地域を越えて拡大する危険性は増大している。2014年のデング熱の国内における流行は記憶に新しい。東京都感染症情報センターによれば、デング熱やマラリアは流行こそないが、都内で数人の患者発生が毎年報告されている▼2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、訪日外国人の一層の増加が見込まれる。政府は対策として主要な国際空港における検疫官の増員等の強化を図っているが、現状では年数%程度の増員にとどまり、果たして開催国として責任を果たせるのか心配だ▼種類にもよるが、例えばデング熱を媒介するヒトスジシマカは気温などの条件がそろえば、少量の水でも十数日で成虫になる。発生の低減には、幼虫のボウフラが繁殖する環境をつくらないことが重要だ。対策は厚生労働省や自治体により公開されている。それらを参考に周囲の身近なところを見渡してみてはいかがだろうか。

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