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コラム・素領域 2021年

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2021年12月17日号 素領域

この原稿を書いている時点で57の国と地域で感染が確認されるなど、オミクロン株が世界的に広がっている。オミクロン株は、これまでの変異株とは異なる変異をしており、ワクチンの感染予防効果が低いなどと言われている▼どうしてこんな変異株が生まれたのか。専門家から話を聞くと、2つの要因があるようだ。一つは、アフリカにおけるワクチン接種率の低さ。国によって異なるが、1~2割という接種率の中で新型コロナウイルスが…

2021年12月10日号 素領域

岸田文雄首相は10月8日の第205回国会における首相就任後初の所信表明で「新しい資本主義」の実現を政策目標の一つに掲げ、それを実現する車の両輪の一つである成長戦略における第1の柱に「科学技術立国の実現」を据えた▼実現へ向けて実のある政策を進めてほしい。その具体策の一つとして、世界最高水準の研究大学を形成するために10兆円規模の大学ファンドの年度内実現をあげており、その準備がいま進行中である▼かつて…

2021年12月3日号 素領域

生物の進化の仕組みの中で重要な説として考えられているものに、自然淘汰と適者生存がある▼自然淘汰とは、自然界で生態的条件や環境などによりよく適合するものは生存を続け、そうでない劣勢のものは自然に淘汰されること。一方、適者生存は、環境に最も適応できる生物だけが生き残り、適応できない生物は滅びていくということである▼ウイルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、ごく微小な感染性の構造体である。生命…

2021年11月26日号 素領域

啓蟄は虫が春を感じて冬ごもりから出てくる時期だが、その逆の虫が冬ごもりする時期は閉蟄と言い、旧暦10月上旬頃を指すという▼昆虫は変温動物であるため、気温が下がると活動できなくなる。一方で恒温動物より低温下の生存という面では寒さに強く、多くの場合凍結しなければ休眠することで冬の厳しい季節に耐えることができる▼昆虫は恒温動物より高温には弱いが、一般的に幼虫であれば10度C以上で発育し、成虫であれば10…

2021年11月19日号 素領域

日本のトップ大学を世界に伍する研究大学にするため、10兆円規模の大学ファンドを今年度中に造成し、運用を開始する。岸田政権が掲げる重要政策の一つだが、現場からは不満や不安の声が聞こえてくる▼小林鷹之科学技術担当相は「特定分野に強い大学、地域の人材育成や社会課題解決に取り組む大学など、様々なタイプの大学が、社会の支え、知の基盤になっている。それぞれの大学の機能を強化するため、大学振興パッケージを年内に…

2021年11月12日号 素領域

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催前には話題となり、懸念されたサイバー攻撃だが、1年遅れでの開催となった大会期間中、サイバー攻撃は話題にならなかった▼コロナ騒ぎの中での開催だったため、関心が向かなかったのか。そう思っていたら、先月21日にNTTがオンライン説明会を開いてセキュリティ対応の成果を公表した▼結果からいえば、オリンピック・パラリンピックの大会運営や競技運営に影響を与えるような…

2021年11月5日号 素領域

会議などでテーブルの一角にちょっとした飴や菓子類が置かれていることがある。これはその場に何のメリットをもたらすのか▼以前、取材で見聞したことだが、国際交渉の場で各国の代表や重鎮が自国の立場を主張した際に、議論がヒートアップするあまり、お互いが相手に対し、テーブルにあった飴を投げ合ったことがあった。「これは大変なことになった。話がまとまるのか」と思われたが、関係者は「これくらい白熱した方がまとまるも…

2021年10月29日号 素領域

第49回衆議院議員総選挙と第25回最高裁判所裁判官国民審査が10月31日に行われる。期日前投票の期間は20日から30日に指定され、各自治体は各所に投票所を設けている。自治体によってはWebサイトに混雑の程度を表示しているので感染症対策の参考にしてほしい▼期日前投票は、公職選挙法の一部を改正する法律が第156回国会で成立し、平成15年(2003年)12月1日から施行。従来の不在者投票制度が改められ、…

2021年10月22日号 素領域

総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で、STEAM教育、探求力の育成、ギフテッド(先天的に突出した才能の持ち主)の子供たちのための教育について議論が進んでいる。学習指導要領には記載されているものの、日本の初等中等教育において不十分だと考えられているものだ▼発達障害の可能性のある子供は、小学校1クラス(35人学級)で2・7人、中学校1クラス(40人)に1・6人。ギフテッドの可能性のあるIQ1…

2021年10月15日号 素領域

今年のノーベル物理学賞を、米プリンストン大学の眞鍋淑郎氏が受賞した。CO2の濃度上昇が地球表面温度の上昇につながることを証明し、現在の気候モデル開発の基礎を築いた功績が認められたものだ▼気候学分野からの初のノーベル賞受賞ということだが、その研究自体は1960年代に、眞鍋氏が米国へ渡って成し遂げた研究成果だという。実に半世紀以上も前のことである▼しかし、地球温暖化問題に対して世界全体が取り組み始めた…

2021年10月8日号 素領域

かむ力(咬合力)について意識したことがあるだろうか。咬合力とは、物をかみ締める顎の力のことで、最近の日本人はこの力が落ちてきているという▼食事の際に人がかむ力はだいたい自重と同じ、男性であれば60㌔㌘くらいの力をかけているというのである。この咬合力がいったいどれほど重要性なのか。日本の研究機関と大学の共同研究によりその一端が明らかにされている。歯科診療を受けた一般の人(50~79歳)1547人を追…

2021年10月1日号 素領域

第31回目を迎える今年のイグ・ノーベル賞の授賞式は9月20日に開催され、10件の受賞業績が発表された。今年も日本の受賞者が誕生、15年連続の受賞となった▼受賞したのは京都工芸繊維大学の村上久助教、長岡技術科学大学の西山雄大講師、東京大学のフェリシャーニ・クラウディオ特任准教授、西成活裕教授らの研究グループで、「なぜ歩行者は”時には”他の歩行者とぶつかってしまうのかを明らかにした実験を行ったこと」に…

2021年9月17日号 素領域

菅義偉総理が自民党総裁選への出馬を断念したことで、今月末にも新総裁・新総理が誕生することになるが、日本学術会議の会員任命拒否問題については何の結論も出ずに次の政権に移行することになりそうだ。ただ、新総理が改めて6人を任命すれば、この問題は一応の決着をみることになるだろう▼これと並行して動いているのが、学術会議の機能強化についての議論である。自民党PTと学術会議とでは設置形態などで異なる結論が出てい…

2021年9月10日号 素領域

9月1日にデジタル庁が正式に発足した。欧米などの先進国に比べ、様々な分野で日本のデジタル化が遅れていることを受けて、政府が打ち出した日本再興への具体策である▼国・自治体、準公共(健康・医療・介護、教育、防災、モビリティ、農業・水産業、インフラ)、民間のデジタル化を推進し、デジタル活用により多様な幸せが実現できる社会を目指す▼そして「誰一人残さない、人に優しいデジタル化」「デジタルを意識しないデジタ…

2021年9月3日号 素領域

「プラセボ効果」という用語を聞いたことがあると思う。親しくしている医師から「手術をしないでいるガン患者が、市販のビタミンドリンクが効くと思い込み、毎日のように飲用し、元気にしている」という話を最近聞いた。そこでプラセボ効果を思い出したのである▼そもそもこの効果は、「偽薬」つまり本当の薬ではないものを本物だと思って使用した際、本来出るはずのない効果により病が回復したり痛みが和らいだりする現象のことで…

2021年8月27日号 素領域

9月1日は1923年に関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日にあたり台風シーズンでもあることから「防災の日」とされている。同日を含む8月30日から9月5日までは「防災週間」とされ、防災知識普及のための講演会や防災訓練、防災功労者の表彰等のイベントが例年開催されてきた。しかし、現時点では新型コロナウイルス感染症の拡大はとどまるところを知らず、訓練等は多くで中止が予定されている▼そこ…

2021年8月20日号 素領域

日本の研究力低下の大きな要因の一つになっているのが、修士課程から博士課程への進学率の低下だ▼修士課程学生は優秀な先輩を見ているが、その人たちが就職先もなく、結婚もできず、いわゆる高学歴ワーキングプアになっている姿を目にしているからだ。欧米とは異なり、日本企業の多くは博士の採用に消極的である▼こうした状況を改善するため、ジョブ型雇用を進める企業と博士の就職先を確保しようという大学で構成される、ジョブ…

2021年8月6日号 素領域

新型コロナウイルス感染症拡大の勢いが一向に収まらない。東京2020オリンピック開催の最中だが、首都圏をはじめ全国的に感染拡大が再び、しかも急速に拡大している▼緊急事態宣言が幾度も繰り返されるが、人々の行動は大きくは変わらない。日本で感染者が確認された2019年1月から約1年半が経過して、行動自粛は限界のピークを超えているのではないか▼ワクチン接種が進んでいるが、若い世代はこれからである。特効薬もい…

2021年7月30日号 素領域

最近、世界で起こっている風水害をみていると、ゲリラ豪雨とか爆弾低気圧といった言葉がもう珍しくなくなってきていることを実感させられる▼後を絶たない風水害の根本原因の一つとして、クローズアップされているのが線状降水帯である。海で発生した水蒸気は陸に達すると、上昇し発達して雨雲(積乱雲)となる。線状降水帯は、この積乱雲が次々と発生し列をなして組織化した積乱雲群になり、数時間にわたりほぼ同じ場所を通過また…

2021年7月23日号 素領域

日本学術振興会は小学校高学年から高校生を対象に、大学や研究機関で科研費により行われている最先端の研究に触れることで、科学の面白さを感じてもらうことを目的としたプログラム「ひらめき☆ときめきサイエンス(https://www.jsps.go.jp/hirameki/)」を実施している。夏休み期間中にも多くの大学や研究機関が、多種多様なプログラムを企画しているのでチェックしてみてはいかがだろうか▼大人…

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