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コラム・素領域

2021年8月6日号

素領域

新型コロナウイルス感染症拡大の勢いが一向に収まらない。東京2020オリンピック開催の最中だが、首都圏をはじめ全国的に感染拡大が再び、しかも急速に拡大している▼緊急事態宣言が幾度も繰り返されるが、人々の行動は大きくは変わらない。日本で感染者が確認された2019年1月から約1年半が経過して、行動自粛は限界のピークを超えているのではないか▼ワクチン接種が進んでいるが、若い世代はこれからである。特効薬もいまだに登場しない。先行きが全く見通せない状況が続く中、われわれ人類はこれから何をすべきなのだろうか▼いま世界中で取り組みが進むSDGs(持続可能な開発目標)でも、COVID-19パンデミックがその進捗に大きな影響を与えているという▼JST(科学技術振興機構)が今年3月にまとめた報告書「SDGs達成に向けた科学技術イノベーションの実践」では、COVID-19のインパクトとして貧困率が増加するなど、改善の方向にあった指標まで悪化の傾向を見せていると報告している▼目標3(健康・福祉)の中でも、エイズや結核、マラリアなどの新興・再興感染症に対する対処が取りあげられているが、現状を考えればその取り組みは不十分だったといえよう▼報告書ではSDGs達成に近づくことは、人獣共通感染症に強い世界を作ることでもあるとしている。今回のCOVID-19のような人獣共通感染症は近年増加している▼その背景には農業集約化、野生生物の乱獲、気候変動、都市化などの人為的原因があるという。それなら、その原因を解消するしかない▼すぐにでも世界中が連携・協力してSDGsのような共通の目標、課題に取り組む必要がある。世界をリードする大国の米中が覇権争いをしているときではない。

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