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コラム・素領域

2021年11月12日号

素領域

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催前には話題となり、懸念されたサイバー攻撃だが、1年遅れでの開催となった大会期間中、サイバー攻撃は話題にならなかった▼コロナ騒ぎの中での開催だったため、関心が向かなかったのか。そう思っていたら、先月21日にNTTがオンライン説明会を開いてセキュリティ対応の成果を公表した▼結果からいえば、オリンピック・パラリンピックの大会運営や競技運営に影響を与えるようなインシデント(重大な出来事)は発生せず、NTTが安定運営に貢献できたということである▼同席した東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の説明では、大会期間中に4・5億回の攻撃が観測されたが、結果的に大会運営に影響を及ぼすサイバー攻撃は確認されなかったという▼大会1年半前からIOC会長や組織委員会・事務総長らになりすました不審メールなど、大会関係者に対する攻撃を大量に観測したが、この時点で侵入を許さなかったことが、大会期間中の安定運用につながったと評価している▼今回の競技大会のゴールドパートナーとして通信サービスの提供や様々なサイバーセキュリティ対応を行ったNTTは、4つの成功要因をあげる。第1は過去の国際大規模イベントからの学びを活かした脅威情報収集とモニタリング強化である▼第2はNTTグループの総合的なセキュリティソリューション活用。第3は研修・疑似攻撃による検証などを通じた予防保全意識を持ったチームメンバーの育成・定着。第4は様々なステークホルダーとのコラボレーションによるTeam2020ともいえる情報連携である▼今回の大会での成功は世界に誇っていいのではないか。先端ICT分野で米中などに遅れたと批判される日本だが、技術レベルは高い。

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