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コラム・素領域

2021年10月1日号

素領域

第31回目を迎える今年のイグ・ノーベル賞の授賞式は9月20日に開催され、10件の受賞業績が発表された。今年も日本の受賞者が誕生、15年連続の受賞となった▼受賞したのは京都工芸繊維大学の村上久助教、長岡技術科学大学の西山雄大講師、東京大学のフェリシャーニ・クラウディオ特任准教授、西成活裕教授らの研究グループで、「なぜ歩行者は”時には”他の歩行者とぶつかってしまうのかを明らかにした実験を行ったこと」に対して動力学賞が贈られた。プレゼンターは2001年ノーベル物理学賞受賞者のカール・ワイマン氏が務め、トロフィー(PDFファイルを自分で組み立てる)と賞状、10兆ジンバブエドル(模造品)が贈られた▼村上助教らはこの実験で、歩行者集団の各歩行者が他の歩行者と互いに動きを予期し合うことによって、集団全体の自律的な組織化を促進していることを明らかにした。具体的には、通路を対向して行き交う歩行者集団の片側の集団に、予期の認知能力に介入するため視覚的注意を惑わす要素として数人に「歩きスマホ」させることで、予期と集団の組織化の関係を検証した。その結果、わずか数人の介入でも予期が困難になり事前の衝突回避を行えず、集団全体の歩行速度の低下や自己組織化の遅延が生じ、さらに注意をそらされた歩行者以外にも影響。集団の秩序が乱された▼本家(?)のノーベル賞発表は10月4日から始まる。

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